≪逮捕End≫夏ノ鎖

CLOCKUPエロゲ
逮捕Endです。
なんでこんなことになったんだ。なんでこんな……俺は女恐ろしい目に遭うことをしたのか?たかが……たかが……女を、一人誘拐しただけじゃないか。
あの女、白井美月を。
つい、先ほどまでのあの威勢のよさは一体どこへ行ったのか。
軌道に乗っていた作戦が綻びを見せ始めると、途端にすべてが台無しになっていくかのように思い込む節が晋二にはあるのだと持った。そして、調子乗り。
まぁ、これは私という人間にも当てはまるのかもしれん。
天使の声は……聞こえない……
何も聞こえない……何も……見え、ない……
 
何でもかんでも「さよならを教えて」とないまぜにするのはよくないよ、俺ww
小言のように唇を動かし何かを言っていたのは、助けを求めるためじゃなく、心は夢の舞台を見ていた。
晋二のことは目に映っていない。
以前の晋二ならそのことに対して怒り心頭を隠せず、暴力で支配するところであるが、このすべてが無駄🄱なんだという事実に背く勇気はなかったし、私もそうしたであろう。
美月を逃がして、もう二度と俺の前に現れるな、と怒鳴り目を閉じた。
そして、自殺を決意する。
奴隷である美月のいない世界には到底受け入れることはできなかったのである。
美月の父親は、せめて美月を晋二に合わせないように海外へ移住し、代わりに住まいも用意してくれる役人を出所してきた彼に受け渡した。
監視員という役付けなのだろう。
そういった社会に適合するための暮らしをしていく中で晋二は「まともな人格」を手に入れたのである。
まともな人格とは良い言葉に聞こえるがそれは自分の犯してきた過ちに気付き、猛省することを意味していた。
罪を償うことは、美月の目の前に出ていき心からの謝罪でなく、ひっそりと美月に逢わぬように暮らしていくこと。そこには心からの謝罪は必要ない。
過去に遭ったことに対する心の傷を抉ることになるからである。
だが、それはそれでも苦痛が伴う。
呵責心があり、その良心の呵責が更に奈落の底へと叩き付ける。
美月の父親は、それを含めて罰という。
タクシーの運転手をする傍ら、彼女の勇士とも思える、プロのバイオリニストとして輝いている姿をコンサートホールに送り届ける晋二の姿があった。
もちろん、ここでは名前は明かさないし、正体もばれていないだろう。
啜り落ちる涙を拭いた。
この涙は一体何?
自分との差を思い知っての涙?
それとも、美月が晋二を忘れて夢に羽搏いていくことに対する、せめてもの感謝の気持ちなのだろうか?

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