ATTO SECONDO SCENA 4 から。
柿崎院長は過労で倒れた。イヤホンからチャイコフスキー作曲の「くるみ割り人形」だけが木霊する。
柿崎氏は、看護師にはここにいるよりほかの患者さんを診てやってくれ、と言い、司にもそうして欲しいと願い出るが、司は、ここにいた方が何かの役にも立つと思って、と言った。
2人は過去にウィーンのうす暗いレストランであっていたらしい。
12年前、偶然、尼子司が弾いていたピアノを柿崎氏は聴いていたのだった。惚れ惚れするくらいに。
柿崎氏は、42歳だった。
42歳には見えない。
柿崎氏は尼子司の弾いたピアノの音色が無ければ、こうも頑張って自分が院長を勤め上げる病院を経営するようになれていなかったろうに、と述懐した。
そして、不愉快だから席を外してくれないか?と言った。
今の現状を知ったら、こうもなる気持ちも分からなくもないが、ピアノを弾きたくても弾けなくなった尼子司のことも少しは考えてあげて欲しい。
どす黒い後悔が急速に僕の胸を蚕食し始めている。……(中略)……実のところ、もう少し僕のピアノは回復しているんじゃないのかと想像していた。……(後略)
プロと一般の人の意識の違いということなのだろうか。
柿崎病院の「死」
それは、無残にも現状を言い現わしているのではないだろうか。柿崎病院は本当に死んでしまった。焼け死んでしまった。消失。
冷静かつ鋭い目つきの少女、乃木妙子。
病院を襲ったと思われる男性らを追い払い、無事に助け出せた。
乃木さんは、避難所にまた後日、お礼をしに伺いますので、と言いそそくさと行ってしまった。
信用されていないんだろう。また、本当にお礼をしてくれるのかは不明。
もしかして、考えたくもないが、乃木さんと逃げていった男性たちはグルなんじゃないか、と思った。
次は、ATTO SECONDO SCENA 5
をやっていく。
