【美羽 End】夏の色のノスタルジア 【鬱っぽいけどプレイ】

MOONSTONEエロゲ
過去に対する罪悪感とこれから訪れる希望に面白かったし、切り口というか、話の展開が興味深かった。
この作品で「ヨスガノソラ」を思い出してしまった。
彼女の、兄に近づく相手は皆敵だと思う理由が、実は男自体が嫌という意味じゃなく(そういう意味もあるにはあると思った)て諒人が第二次性徴を迎えつつあるのだという事実そのものに嫌悪しているという事実が判明して、心の闇に触れる結果となった。
諒人と美羽は、家族ぐるみで旅行に行ったこともある。だが、両親間で諍いが絶えなかったという。旅行に行くことで私たちは仲良しです、と諒人たちに知らしめたかったのか。或いは、本人たちもその思いに浸っていたかったからで健全な家族としての威厳を保つことができるからではないかと思った。
どうやら原因は父の多額な借金と母の不倫にあったのでないかと喧嘩のときに聞こえてきた断片的な発言があり、そう思った諒人。これが本当なら荒んだ家庭環境だな……。荒んだ家庭環境の中でも、
「あなただけをみつめる」
という向日葵の花言葉を教えてくれた父親。母親と険悪モードであるが、子供に対しては温和な父親を演じていた、ということなのか。
子供にとっては、家庭が少し歪んだ雰囲気というか、ぎくしゃくしている雰囲気はちゃんと理解出来ているものである。
家庭は、子供にとって時には、かけがえのない家族と過ごす時間であり、時には居場所となる物であるはずなのに、家庭がこうなら、いずれは両親が死ぬ運命にあったこと、間違いない。ところどころで、我慢の限界というか、心が一杯一杯であって綻びの多く見え隠れしている。
それまでは諒人と一体感があったというが、今では美羽は、身体に起きた少女から女性になる変化で心境の自分でも気づいていたようだ。彼女は、女性として諒人に愛されたいという気持ちになり、これまでの態度も葛藤からくるものであった。
グラフィックの良さもこのゲームの売りなのだろう。
事故の日、飲んだくれの父親にリビングで会った美羽は酒に弱いはずの父親に禁断の一言を投げ放つ。
別にその一言を投げ放つ彼女には大人の包容力や言葉で喝を入れるという意味で何とかなると思っていた雰囲気もある。だがまさか、あんなことになるとは……。
ゆらゆらと風に靡く様に熱る焔。
それも原因の一つに美羽の一言もある。その罪悪感もあってか、ラビリンスに事故の様子を復元させ、火災の現場を追体験する。
そのせいで美羽は大事な恋人の命を奪われてしまう。しかし、安心してほしい。これまで諒人は河童に足首を掴まれ痣を負ったが、あくる日にはまた何事も無かったように動いていたではないか。今回もそういうおめでたい世界の力が発揮される。
追体験をすることでより離れたくないという思いを抱かせるのに充分だった。
いつか別れる時が来ようとも、それまではずっと一緒にいようね、と誓い合った2人。
あれ以来、例の眼力を使う日が来ないことを祈って終わりにしよう。
使ってしまうと美羽が嫌がるから、嫌がることを好き好んで使うということは破局を意味するのではないかなと思ったもので……。

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