『半径120センチがこの手の届く距離』みにくいモジカの子 ≪感想・一部追記有≫

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一言感想:人が自分のことをどう評価しているのかを言語化して見えるようにするが、その言語化を望んでいるのは、自惚れているだけである。
優れていても正しいことを言っても、非難されうる。
「どんなことを言ったかではなく、誰が言ったか」を評価されてしまう社会。
そう、人は平等でないのだから……。
あらすじ

僕は、君の醜さを知っている。

絵にも描けない醜さの僕が、
ずっと俯いたまま学園生活を送る理由。
他人には絶対に言わない秘密。
僕は人の心が視える。

地方の名門校、私立樹望学園に通う種崎 捨(タネザキ ステル)は、絵にも描けないほど醜い外見が原因で、クラスでいじめられている。
捨は他人の心を「視る」ことができる特殊な能力「モジカ」を持っていたが、顔を上げるたび向けられる外見への誹謗中傷に耐えかね、能力を封印してずっと俯いたまま暮らしていた。
そんなある日、捨は密かに恋心を抱いていた同級生に、偽の告白をされる。
捨はついに、自分を追い詰めた学園に復讐を決意するのだった。

fanzaより引用

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ニトロプラスの「みにくいモジカの子」
このゲームの魅力は、完全主観なゲームであり主人公やほかのキャラクターの心理が読める点にある。
ただ、モジカの能力を画面上で書き表すのはこういう作画で書かんと行けないのは理解するが
もじを一文字一文字送っていかなければならず、ちょっと目には疲れる。
テキストウィンドウを無くし、テキストもすべてが画面中央に表れるという新たな試みだった。
それが功をなして新たな発見となるのか。それともならないのか。
本作では心を通わせるキャラは誰かいたのだろうか。とかそういうことを考えつつプレイしていったが、僕の出す結論は多分いなかったんじゃないかなと思う。少なくとも、TrueEndをプレイするまでは陰鬱な救いのないゲームであり、その復讐の内容も後述するが残酷であり、どちらかが斃されないと終わることがないという意味では胸糞悪いと思った。
あと、屋台の闇というか、的屋(ほぼほぼ反社)のシーンでは昔からあんまり屋台に良い印象は持っていなかったのだが、それを深く心に刻まれる結果となりましたね。
これをプレイして
『半径80センチがこの手の届く距離
いつの日か回り疲れたらそばにいてください』
を思い出してしまったw
あと、どんなに見た目が醜くても女の人からモテたいのだろうなと……
それを思ったら、憎くてもモテたいという気持ちは生きる上での原動力だと思うのでそれも表現したかったのではないかなと思いました。

各Endのあらまし(ここから先ネタバレ有)

  1. みゆEnd
  2. 胡頽子End
  3. 綺羅々End
  4. 椿End
  5. 鳴子End(True End)

みゆEnd

みゆは種﨑の復讐劇に自らついていくことを決意。陰ながら支えてくれた唯一のキャラ(鳴子を除く)。
彼女は、綺羅々(のちに笑子=鳴子だったとわかる)に唆され告白したがモジカの力を持つ種﨑にいとも簡単に見破られてしまう。
献身的にも思えるみゆだが、心理は自分が最下位に堕ちたくないという心理、これに尽きる。
そのために彼女は種﨑に潰れられては困るのだから、自分が求められていることとは何かを瞬時に理解して、行為に至る。
綺羅々に復讐するという大義名分をなし遂げたが、ついにみゆが牙をむく。
種﨑のことをご主人様と強制的に呼ばせたことが逆に、種﨑がみゆのことをご主人様と呼ばされ、立場が逆になってしまうことは誤算だったのか。
否。
街の装いは変わっていくが、住んでいる人の暮らしはちっとも変ってはいない。
学校に通っている人の気持ちは依然、九鬼ら上位貴族に支配されているという図式はますますと変わらんだろうし、そもそも孤児院育ちに支配
されたいという人もいないだろうし
彼は、支配し続けていたことが仇となり、綺羅々や胡頽子にも貶されまたいつものようにいじめられていくのでした……。

胡頽子End

胡頽子、天才ハッカーにして痴女という感じがする。
綺羅々の指示でみゆの動画を撮影し、それを学園中にばらまいたのも彼女の仕業であった。
だが、彼女のハッキング技術はあくまでも生き残る上での手段であり、種﨑を憎んでというわけじゃない。
利害の一致という言葉も多く使われた印象であり、彼女のこの大人顔負けな口ぶりには舌を巻いたが、実は痴女だった(2回目)。
蜂矢 秀道
半グレ組織のリーダー格であり、素人系AV監督でもある人物。
その手のマニアからは一目置かれている。
これ、バッキー事件の栗山龍の件と類似している。
AV関係やフェスの企画、暴力団との癒着や闇金で儲けているのだそう。
警察に見つかってもその裏の権力で一切お咎めのない無法地帯がそこにはあった。
胡頽子は、その蜂矢に自ら顔をマスクで覆い、お金に困っているように装うことで接近に成功した。
だがそこに一つの誤算があった。
種﨑の存在だ。
彼らは、所詮、利害でのみ成立している仲なので片方が破棄すれば、いとも簡単に裏切ることが可能となる。
ましてや、高校生となれば、その拘束力は限りなく低いといえる。
そういう意味で彼らは極めて危なっかしい橋を渡っていると思った。
綺羅々は、精神病院に入院したか、自殺したか、或いは他殺したのか分からないが、聞かない方が良いのだろう。
彼女は、結局のところ、自身の父親の持つ力を蜂矢に利用されるだけ利用されて、後は破棄される。
主従関係を理解できなくて彼女面した綺羅々の責任かもしれんが、なんだかなあという感じ。
彼女は極道の世界に足を踏み出しているので警戒しなければいけなかったはずなのに、いったいなぜこうなったんだろうね
だが、フェスのシーンからは胡頽子の痴女具合が丸裸になってくる。下着とバイブの音で以て、会場内は一気にピンク色のムードに。
一連の騒動には、やくざの権力が関わっており、止める者も誰もいなかった。
ここは樹望町であり、学園と寮をいきいきする連中のには住むとされる仮想的な町だから、邪魔なものはいてはならないのだろう。
蜂矢に目をつけられ一時期は仲間意識の芽生えるのかなと思ったが、別ににそういうことにはならずに種﨑は撲殺されるような形で亡くなってしまった。
利用するだけ利用され最後には殺されてしまう。

綺羅々End

このEndは、殺された蜂矢の代わりに自分が蜂矢になろうとして九鬼組に追われて遂に殺されるというEndだった。
また、復讐の相手を見失ってしまったことによる目標の喪失と九鬼組のお金にまつわる展開に重きを置かれているように思えた。
綺羅々は初めこそは自分や環境のことを認知し、種﨑のことを嫌ってはいたが、徐々にタマサの餌食となり自我を無くしていく。
そこに蜂矢の血塗れで死亡している画像を種﨑から見せつけられ
堰を切ったかのように感情を吐き出した後、認識したのは
種﨑じゃなく蜂矢だった。
種崎を蜂矢と思い込むことで何とか自我を保つことに成功した。
彼は蜂矢なら何をするのかを過った末に思いついたのが、自分のペニスにピアスを通す激痛を伴う方法であった。
サイキッカーと九鬼組の間には敵対関係があり、報復の手段として蜂矢と綺羅々は殺されてしまった。
ちなみに、クラスの主導権を握った種﨑が使った、タマサはこの敵対関係の軋轢から生み出されたものだった。
そういった意味では、今回のこのEndは自分たちが蒔いた種ではないのかという気がした。

椿End

本作中に見た中で一番精神的なダメージが強かったイメージ……。
純愛だと思うじゃん。
でも蓋を開けたらこういう風景が浮かんできている。
まぁ、これが偽物であるとも思えた。
扉の鍵は壊れてしまったらもう元には戻せない
ということは、コンセイサマを斃したかと思っていたがこれは逆で、神の力が自由自在に誰にも宿るっていうことなのではないか。
今回の対象となった人が種﨑はコンセイサマと一心同体となってしまったのではないか。
これが、僕の考えたことが事実にせよ、レイプじみた光景が事実にせよ、これは直視できないわ……。
直視できないっていうか、生々しすぎておぞましい。

鳴子End(True End)

カンヌキは人の心に元来からある能力。
人と人との共感力、言い換えれば身振り手振りで嘘をついているのかが分かる能力のことであり、みなはそれを駆使し、平穏無事にモジカの能力を使わないで暮らしていけるという。
この話を聞いて、世の中には知っておいた方がよいことと知らないでいたほうが良いことの2つがあるんだなと改めて思いました。
鶴の折り紙、金魚鉢と風鈴それぞれが笑子との思い出の品だった。
思い出の品々を後生大事に持っていたということで純愛ルートなのではないかという気がした。
こういうことを思ってくれる彼女がいてくれたらな…会社でもどんな不条理に立っても抗うように生きていける気がするのだ。

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