【ネタバレ有】G線上の魔王 クリアしたので感想

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この作品は、各ヒロインの心の機微がとても丁寧に描かれており、声優さん演技にもほれぼれした。
ところどころで、京介=”魔王”と思わせるが、ミスリードを誘う形でまんまと罠に掛かってしまい、そう来るかと思わせる演出に唸ってしまう。ゲームの見どころはそこにあるのではないかと思った。止め時が分からなくなるほど没頭したのは良い思い出。
BGMでは昂奮した。個人的には、熱情のアレンジ曲である「逃げ場なし」が好み。ゲーム起動時に流れる音が徐々に「G線上のアリア」の旋律を奏でる演出では、物語の終焉を告げるとともに、あぁ、もうこれでお別れなんだな、と少し侘しい気持ちになったことは否めない。
復讐が復讐を生む怨嗟がいかに惨めな気持ちになるかに焦点を当てられた作品。
ハルは、見事に”魔王”を追い詰めたのではあるが、その果てに待ち受けているのは己のしたことに対する後悔と懺悔であった。ヒロインを通じ、この世に金以外は価値がない、と豪語する京介の性格を変えていかせる、「気付き」の物語でもあるという様にも感じた。
[あらすじ]
真冬。
粉雪の舞う大都市に’魔王’が出没した。
望みは、無論、人間社会の崩壊である。主人公・浅井京介は、学園に通うかたわら、養父のビジネスを手伝って、
存外な大金を動かしていた。
倣岸な養父に影響を受けた彼は、才能を余すところなく発揮して、
ついには有名企業のブレインとしての顔を持つようになっていた。
けれど、彼は普段はクラシックを愛するひょうきんで明るい青年である。
クラスメイトの椿姫と義理の妹の花音、親友の栄一に囲まれながら、
楽しい学園生活を送っている。

そんな京介の平凡な日常にも、危機が迫っていた。
花音の出場するフィギュアスケートの全国大会が脅迫され、
椿姫はずっと守ってきた住居から立ち退かされる。
学園では謎の集団が人質を取って立て篭り、
市内でも裕福層の子供たちが次々と失踪していく。
一連の事件はすべて、地下都市を根城とする’魔王’の仕業だという。

そんなとき、一人の少女が訪ねてくる。
少女は、正体不明の’魔王’をあぶりだすべく、
頭脳を駆使した心理戦をしかけていった。
流れるような長髪の美少女、宇佐美ハル。
彼女こそが、京介の忌まわしき少年時代を、ともに戦ってくれた’勇者’だった。

十年ぶりの再会――
いま、命をかけた純愛ドラマの幕が上がる――

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各ヒロインルート※ここから先ネタバレ有

  1. 椿姫
  2. 花音
  3. 水羽
  4. ハル

椿姫

ゲームをする上で肝となるルートが椿姫ルートなのではないかと思った。
よく考えたら、このルートのプレイ時間だけが2桁台であるし、記憶に残った部分が多くある。
京介の立ち位置から考えて金こそがすべてだという金権主義になるのも頷けるし、ましてや、高校生に払えるような額ではない借金を半ば強制的に追う羽目になった。だから相当、身体的や精神的にガタが来ていたのだろう(後述)。そんな京介に興味を持って話しかけてくれるのが椿姫。彼女は農家を営む家に育っているが、5人兄弟の姉であるので裕福ではない。環境の違いによって生じる考えや視点の違いも『G線上の魔王』の魅力の1つだろう。
”魔王”こと、恭平は京介の肉親。
イギリスに留学していたとき、爆破事故に巻き込まれて死亡したかのように思われていたが、実は生きていた。
イギリスでは傭兵として戦地に赴いたとかで図太さが窺える死線を潜り抜けて帰国した。そののち、表では「あさい」、裏では”魔王”と名乗り山王物産を活動拠点に、宇佐美に復讐しようとしていた。
大雑把に書いていると2人はやはり兄弟だなと思った。というのは、どこまでが”魔王”か京介の仕業か分からなくなってしまう場面があり、それに伴い、手段は違えど目的は同じ、山王物産に肩入れする(椿姫Endまで)からだ。”坊や”を手駒にする”魔王”とは異なり、あくまで、京介は目の前に起こっていることに集中する。そこにはやはり裏の顔もあったことは変わらない。
似た者同士のことなのか。恭平と京介は一見して違いは無いように思うが、悪に徹して死に逝く兄とは違い、京介には面会の場愛で泣きじゃくってくれる仲間がいる。義理だとかそういう感情は抜きにしても兄には到底できない所業だろう。
純粋無垢な少女に被る誘拐や身代金奪取事件。
何故この少女が…?と無念というかなんというか、強いて言えば住んでいる場所が悪かった。リゾート計画地に住んでいた椿姫は多額のお金を提示されても立ち退かない。先祖代々から受け継がれていたし住み慣れた土地なのだという理由もはっきり言うと”魔王”や京介にとっては御邪魔虫なのだろう。感情よりも目に見える物を求めたいので、その純真さに目もくれない。
そういった意味で感情を優先させたい椿姫とカネで動く京介の攻防戦のようなものが現れている気がした。
その純真さをよくも悪くも利用されてしまった感がする。


花音

花音ルートで『未来へ』Kiroroを思い出してしまった。
一流スケートの話。
その背後では、”魔王”に山王物産から新たな要望とヤクザに籍を入れた浅井京介の関りが幕を開ける。
一流スケート選手になるためには沢山の努力と大勢の人の思いが上手く合致しないといけない。
その期待に応えるように成果を上げていけたらよかったのだが、本人の他人は他人、自分は自分、という意思があるようであった。その花音の性格の他人を寄せ付けない、無関心さがひとたび何かをやらかせば、今度はそれが火種となり炎上する。今回もそのような話。
一度スケートリンクに上がれば、もう誰にも邪魔されない舞台なのであり、不可侵領域なのであるという感情の起伏にも触れることができるシーンや病院の母親に向かって、放った言葉では、なんだかんだで感謝しているのだなと思い、感動した。
BadEndであったが、母にちゃんと礼を言ってあげたかったという涙を誘う演出の出来に驚きを隠せなかった。
初めは京介にちょっと依存をしている節が感じられたが、最後にはきちんと独り立ちして、海外へと留学していった。
兄弟愛を感じた。


水羽

水羽は椿姫や花音とは違い、彼女の考え方の変化や心の成長をメインに描かれていた。
京介に想いを上手く伝える方法をユキから伝授され、行動のどれもが後半にかけて一際抜きんでていた。個人的に一番好みかな。
2件の学園の人質事件と倉庫の立て籠もり事件。その犯人と駆け引きというか展開がとても面白く文章と独特なタッチに没入感を味わった。ここまで没入できる作品は、あんまりない。さよ教も一応没入はできたが、設定上のため文字は読みにくくなっている。倉庫の立て籠もりでは改めて水羽とユキの絆の強さを思い知ったし不幸が重なってこんな状況になってしまったのが不憫で仕方がない。
椿姫・花音・水羽・ユキのそれぞれの心に抱えている、そこにだけは決して他人には触れないでほしいという不可侵領域が多く存在するような気がする。


ハル

「京介が魔王ということをハルが知った時どういう展開になるんだろう?」みたいなことが正解という浅墓な考えによって、はいはい、どうせ京介=魔王だろ?何なら1章から分かっていたwとか思っていたら、その浅墓すぎる考えから2,3歩前に進んでいた怒涛の展開に舌を巻いた。
最終章でスタッフロール流れてきたし、一件落着。”魔王”はあっけなく死んだ…と思っていた。
「あーこれでエピローグでバレンタインにハルが京介にチョコ渡してラブラブして終わるんだろうなー」みたいな大団円で終わると思ったら、ハルと”魔王”が運命のご対面を迎えた。彼女の顔は見るからに鬼のような形相に変貌していった。
咄嗟に”魔王”は銃を落とし、公園の方にまで逃げていってしまう。
そして、木の幹に寄りかかるようにしている”魔王”の死。それは、京介とハルにとっては復讐を果たしたぞ、と意気揚々というよりかは、後悔と懺悔に苦しむ結果となってしまった。
なぜ浅井の元に下ったのだ?と恭平は京介に訊いたが、それに対する答えは、お金に困っていた京介にとっては至極当然のものであった。
しかし恭平は、そういうお金のためになら何でもするという醜い感情に支配された輩が一番嫌いだと一蹴した。
一番最後のハルと娘のCGのハルの顔を入れなかったのはライターの意図を凄く感じる。
実際刑務所から出た京介にハルが会って自分の娘を紹介してるときにどんな表情してるのか想像して欲しかったのか。
あるいは、見ようとしたが見れなかったのではないかと思う。
罪の意識や自分は裏の道に染まってしまったという自責の思いから、顔も見れないで俯いていたところに子供の背丈は目線で映っていたのではないか。
秋元(権三の紹介した精神科の医師が言うことには、頭痛の原因が、他のアニメや漫画などでよく見かける展開の「”魔王”との人格のすり替えで誘発されたもの」であると仄めかされたが、彼は心因性健忘症という病気持ちであった。
ストレスが鬱積した結果として発症したらしい。
「兄貴、妹(あいつ)は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」
でおなじみ東野圭吾の『流星の絆』を思い出した。
姿形は違えど、憎い仇に惚れることはよくある…ことなのだろうか。知らない方が良いこともままあるということ。其れも言いたかったことなのではないか。
相沢栄一について
何だか、名前だけ見れば、渋沢栄一と似ているなw
調べてみると女好きという性格まで似ているとは…

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