【鬱Endもあるよ】Zwei Worter (CLOCKUP) 【感想】

CLOCKUPエロゲロボシリーズ 三部作各ゲーム感想一覧

「CLOCKUP ロボシリーズ 三部作」の第二作目。

パッケージ版

ジャンル:SFADV
発売日:2025-06-272007年4月27日

曲名カテゴリ歌手
ZWEI WORTER 〜僕らの世界〜オープニング佐藤ひろ美
Eternal promiseエンディング佐藤ひろ美

プレイ時間:46.5時間
攻略順:ユキエサクヤイリアスイリューダゼロノ
append final

感想:各キャラ、1話~5話(キャラによっては6話)の構成となっている。さらに、appendとfinalもあるため、それなりにボリューミーかつ、CLOCKUPでは珍しい非抜きゲーとなっている。また、フルコンプを目指すにはBad Endを見ないといけないため、Bad Endが苦手な人にはオススメしない。
しかも、一部のキャラクターでは鬱ゲーの限りを尽くす。

46時間に及ぶ、長く険しい道のり。
戦時中という設定の上、ヒロインとの性的な絡みは、あんまりない印象。だがこの手のゲームは性的描写がない方が良いので、気にすることなくプレイすることができた。
だが、何より印象的だったのは、クラスメイトやスティルスーツの正体である。
特にスティルスーツの正体を知ったときには、久々にCLOCKUPの作品で感涙した。

ストーリー

西暦2005年の大規模隕石群により人類は大打撃を受けた。
しかし、それと時を同じくして出現した、
知的生命体「ディゾルブ」の先進科学技術により、
絶滅の危機を乗り越える。
そして
西暦2007年に絶対攻撃型外宇宙生物「エルシド」が襲来。
以降、人類が手にする科学技術は、全て防衛戦争へと傾注される。
——このわずか二年間で、世界の人口は十分の一にまで激減した。
西暦2017年人類・ディゾルブ・そして人類が新しく生み出した「ハイブリット」……
この知的生命体3種が、地球圏の存亡をかけてエルシドに挑む。

登場キャラ

キャラクター

【ゴウリ・ユキエ】
国連宇宙軍『アークス』所属のパイロット。
軍の英雄である父親と軍の狙撃手だった母親から深い愛情を受けて育った、
エリート街道驀進中の軍人少女。
しかし本人はドジで泣き虫、しかも軍人らしからぬ直情行動型である。
主人公との出会いに運命を感じ、所属していた特戦校からキョウシロウのいる
中野訓練校へ転校してくる。
常に親代わりの過保護なSPが五人、周りを固めていて、近づいてくる悪い虫を警戒している。


【ワダツミ・サクヤ】
国連宇宙軍『アークス』所属のパイロット。
特殊な能力を持ち人類と共存するもう一つの人類『ディゾルブ』種の少女で、
その中でもさらに戦闘用に強化された、特別な存在。
戦うことだけをその使命として教育されているため、他者との交流が苦手で、
その結果、普段から口数が少なく態度も冷たい。
時折辛そうな、何かにじっと耐えているような表情を見せる。
本人は望んでいないが、その重い使命を共に背負う仲間が、サクヤには必要である。


【イリアス】
この時代、宇宙怪獣(エルシド)との戦争によって激減してしまった人類は、
目的別にさまざまな『ハイブリッド』種の人類を誕生させています。
その数すでに数十億人が、地上はもちろん、月面や宇宙の防衛衛星にまで広がって、
いまや人間やディゾルブと一緒に、地球圏を守るために戦ったり、
生産活動をしたりしながら、暮らしています。
イリアスは、地球から遠く離れた海王星軌道からたった一人でやって来た、
最新型のハイブリッドです。
好奇心が旺盛で、面白いものを見つけると、慌ててあなたに教えに来てくれます。
「あのね、あのね……」その無邪気な言動に触れると、誰もが微笑まずにはいられません。
また、イリアスは戦闘用ハイブリッド種の頂点に位置する個体で、単体戦闘能力でも
『アレキサンダー』操縦を含むあらゆる兵器運用能力でも、他の追随を許しません。
将来の夢は……人間に、なること。


【イリューダ・トリェーリャ】
偶然に知り合った主人公を自分の都合で振り回し、
誰彼構わず迷惑を振りまく災禍の中心(ハート・オブ・メイルシュトローム)。
スレンダーな外見に反して大飯食らいで、メカ音痴。
凶悪な巨大ライフル(整備は他人まかせ)を怪力にまかせて振りかざし、
上司のリョウトと共に高層ビルの谷間や夜の倉庫街で日夜、
都市へ侵入したエルシドの情報収集生体兵器を狩っている。
ディゾルブと人間の混血実験の過程で誕生したテストチャイルド。
ちなみに、トリェーリャとはロシア語の序数詞で”3″を意味する言葉である。


【ゼロノ・ピアノ】
通学路の途中で主人公が出会った女の子。
それ以来、主人公の周りによく姿を見せるようになる。
にぎやかなことが好きで、お節介で、本当はちょっぴり寂しがり屋。
人の恋の噂話が大好きだけれど、実はまだ恋愛をしたことが無く、主人公との出会いに
運命めいたものを感じている。
そして、総ての謎はゼロノに収斂する。


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序盤

序盤はほんわかした学生モード。
というのはキョウシロウ一行は軍事訓練校に通っている学生だからである。
授業を終えた後に「今日はどこに行こうか?」と仲間たちで交わされる会話。
ハイブリッドたちとも仲睦まじく過ごしている様だった。

強い人は何度負けても最期には相手が根負けするぐらいまで食らいつく。
ボロボロにされてもまた這い上がる強さを持った人こそが強い人だ。

キョウシロウが幼き頃、教えられた言葉。

時は巡って現在。
ハイブリッドという動物と人間が交配させることにより誕生した異種体が人間たちと共に過ごしていた。
気になるところと言えば、あえてなのかはわからないが、DAKTのことは軍事訓練校で教えられているが、僕の知っている事実と異なっている点だろう。
ディゾルブを斃したのがDAKTなのだが、国際情勢の影響により、記録から抹消されていた。しかも本作ではそのディゾルプに敵であるエシルドを狩るために一行(特にその事実をネットで知ったハヤト)は味方として渋々同行していくさまが見て取れる。
敵の敵は味方なのだろう。

エルシドに勝ったらならば、どれほど犠牲が出ようとも勝利は勝利なんだ。
かつて日本に投下された原子爆弾を思うと心が晴れないのは気のせいではないはず。
アメリカは実験やソ連への対抗も兼ねて原子力爆弾という禁じ手を使ったことにより戦争が終結したと思われる。
そこには当然、多大な犠牲が出た。戦争というのは勝たないと意味はない。戦争での犠牲は勝って晴らさないとダメだった。
勝てば官軍負ければ賊軍……。

だからなおのことエルシドが街で散々暴れまわろうとも、町が消滅したとしても地球を守るためならば手段を択ばないという魂胆が透けている。

ユキエ √

奇天烈であり、おっちょこちょいであるが、意外な一面を持つ。
エシルドに一時的ではあるが撤退を余儀なくされたとき

「自分に与えられた任務の中で失敗が許せない」

という完璧主義が明らかになった。

End:BadEndが4つユキエBadEndが1つユキエEndが1つ用意されている。
Bad Endの大半は指示が巧く行かなかった。それゆえ、キョウシロウは作戦が機微に行動できずに宇宙のかなたに投げ出されるというものであった。
ユキエBad End
エルシドに勝ったと思ったが、死んだふりをしていただけだという。
奴らの正体が分からない。
彼女は一瞬の隙を突かれ鬼籍に入るという結末……。

Bad Endの大半はシーン回収のために用意されているのだろう。

ディゾルブ、ハイブリッドやヒューマンの代表者は互いにいがみ合っていた。
戦争時にも拘わらず、「軍事力を互いのために使うことはできない」と自分の味方以外はどうなっても構わない性格なのか、それとも戦争という状況下で判断力がそがれてしまったのかは定かではない。
いずれにせよ、そんなちっぽけなプライドを守りたい一心で彼らは別々の道をたどっていくのか、一時的に和合して集結を見せるのか。

ネタバレ

皆が協力してエルシドには勝利したが、そこに至るまでにはやはり多くの命が犠牲となった。
ディゾルブやハイブリットの兵長も例外ではない。
キョウシロウらはそんな殉職していった仲間のことも想い、成し遂げた勝利に酔いしれる。
そしてユキエとキョウシロウは末永く暮らしていく。

サクヤ√

喜怒哀楽がないと思い、矯めつ眇めつ観察してみると、いろんな表情を見せるところが愛おしく感じた。
ちょっと犬吠埼さんみたいな娘だな。
性格は淡泊であり、必要最低限のことしか話さないタイプ。
通学中のバスが急停車し、サクヤの乳房に触れてしまったという最悪の出会い方をする。
淡泊な性格が幸いし、乳房に触られたことに対して怒りの表情を浮かべることがなかった。

彼女やバスの運転手はディゾルブだった。特にバスの運転手とは、かつて軍に仕え、懸命に地球のために闘ってきたので、ハヤトとキョウシロウは彼を慕い、仲良くなった。だが、バスの運行中、エルシドから襲撃を受けてディゾルブ化した。ディゾルブ化すると一時間後には死ぬという設定の下、彼はエルシドの下敷きになる形で死亡。

この地球を救ってくれ、若人よ

という旨を言い遺した。
その想いを胸に込め、エルシドを斃すための闘いの火蓋を切ることになる。

サクヤBad EndとサクヤEndの2つが用意されている。
Bad Endを見ないとサクヤEndには到達できない。

Bad End
サクヤは適合者ではなく、唯一の適合者はキョウシロウであったことが判明。
彼女は適合するために改造されて造られたディゾルブであり、その処置のために寿命が短くなってきていた。
そのことはよくわかっていた彼女は、最後の闘いに一人で闘うという決断をする。
エルシドを斃すためには自分の命も惜しくはない。
なぜなら、彼女の心には「大切な人を救いたい」という思いがあったからに他ならない。

そして彼女は帰還した。
砂と化した肉体、キョウシロウがあげたペンダント、そしてキョウシロウに捧げた自分の命とともに。

サクヤEnd

多数の犠牲があったものの主力部隊は亡くならずに済んだ。
記憶を失っていく幼児退行を見せるサクヤ。
人工的にアレキサンダーに適合させるために処置した結果として、脳や体には多大な負担をかけていった。
ヴェルバラという始祖のディゾルブに行けばどんな夢も叶うとのことで向かおうとするが肝心なデータが不十分であったので、任務で行けないキョウシロウの為にクラスメイトが一丸となり、データを収集する。
ヴェルバラとは、ディゾルブの始祖が長命人類種との戦争に反対であったため一時的に身を隠すための場所なんだそうで困難を極めた。

最後には白星をあげることにより、エルシドは姿を現さなくなった。

なぜエルシドがヴェルバラと同じ座標から現れたのか。
僕の予想は、ヴェルバラを作り上げというディゾルブの始祖は人類にとって害悪なものを作り出したのか。あるいは、同じ誤りでも後世に技術が伝わる従い、その姿を人間にとって「悪」なるものを作り出したのではないか。

イリアス√

彼女とは訓練校に向かうバスの中で会った。

海王星生まれのハイブリッドで、人懐っこく、好奇心が旺盛な性格。
地球人のキョウシロウにはなかった感性で絵画を鑑賞するシーンがとても印象に残った。
基本的には優しいが、反ハイブリッドを掲げるデモ隊には持ち前の能力を駆使しようとするなど、越権行為が見られる。これはまだ地球に来て3日ということもあり、物事の道理の理解に疎いのかもしれない。

闘うためだけに配備された彼女は故郷から訳あって保護されていたようであった。
そんな彼女の生い立ちは、差別を嫌う母と父の三人で平和に暮らしていた。だが、敵の脅威により、その平和な日々は突如として終焉を迎えることになる。
蝶よ花よのごとく温室に育った彼女には、平和と伝えられていた。内面状態で戦争状態が続いており、イリアスだけは知らされていなかったということも考えられる。

越権行為すると、ハイブリッド停止薬を打たれる。
緊箍児きんこじという『西遊記』に登場する孫悟空に付けられた輪を、ハイブリッド停止薬になぞらえて表現するのは秀逸だと思った。
副作用で心が壊れてしまうこともあるが、世界的には平然と認められているのは、差別の助長、差別の正当化につながるのではないかと感じた。ハイブリッドが危険だと認識する人が増えれば、人は尖った意見に目が行きやすくなる。だがその尖ったハイブリッドはほんの一部分であり、大半は地球のために派遣されたのである。
あえてイリアスを挑発して激昂させた。そして、異形に変化したハイブリッドを撮影し拡散しようとするデモ隊の姿が観測された。

異形に変化しようともイリアスはイリアスだという言葉を胸に突き進むキョウシロウ。
はたしてどうなっていくのか。

Bad End
エルシドゲートというエルシドが出現してくるゲートがあるみたいなのだが、そこを特攻で破壊することを条件として地球防衛軍の一味として迎え入れられたことが描かれている。
その条件を受け入れたとされるが、実のところ、思考を介在しない選択であって、思考を指定しているのかなと思った。

彼女は玉砕した。
彼女が守りたかった地球と引き換えに。

イリアスEndでは、反ハイブリッドを掲げるデモ隊が出てきた。
これらは、戦争という非常事態の状況下において、逼塞感や恐怖感が肥大していくことにより、デモが加速した結果なのではないかと思った。

未来への希望が無くなれば、人は暴徒化してしまう。
希望を失くした者は、周りの者の希望を失くさせ、絶望はさらなる絶望を産み出す。

物質的なこと以外で考えると、人が生きていくうえで必要なことは希望なんでしょうか。
将来は必ず報われるという思いがあったからこそ、頑張れるというものである。

最終局面では、エルシドゲートを塞ぐために大人に変化したイリアスとともに突っ込むシーンがあった。
Badでは、一人で突き進んだが、このEndでは二人でエルシドゲートを破っていくことが大きな変化である。

またにゃ、トリトン。みんな

と元の姿に戻ったイリアスが放った言葉が切ない……。
また、携帯電話を買ったイリアスは待ち受けの写真を見せてくれたが、3つ葉のクローバーがあった。
実を言うと、この世界は気候変動による影響の為か、4つ葉のクローバーが大半を占めており、3つ葉のクローバーを見つけることは難しいらしい。

イリューダ√

喜怒哀楽をはっきりと示し理路整然と話を進めてくる美少女だが、ちょっとおっちょこちょい。
通っていた大学にも居たっけな、服のタグがそのままにして着用する人……。

彼女とは訓練校に向かうバス内で会った。
バスは出会いの場所なのかw

あらかじめ把握していて半ば強引に入隊させられたこれまでのキャラと違い、イリューダは偶然の巡り合わせという感じであった。生体末端の発見が、任務らしい。
リョウトに対するかけがえのない想いは彼女自身もディゾルブであることに加え、過去の出来事も知ってのことではないかと思った。
リョウトは前作、ジオグラマトンで登場したが、End後の様子は知らなかったため、新鮮であった。
第一次復興計画は、表立って発表されていなかった。

ドクター
「月での戦闘における重力異常などというものは、最初から
存在しなかった。計画は超空間ゲートの破壊とー–
開きかけた超空間ゲートを、時間凍結によって
2年もの間塞ぎ続けた英雄––
ー–リョウト·ジグムント救出のために
立案されたものだったのだ」

要するに、恭介との闘いののち、ディゾルブの本拠地が月にあると確信した2人はそこで闘った結果、見事に白星を挙げたが、月が落ちてくるのではないかと危惧したのでリョウトが生贄となるというEndだった。
それを補完してくれるのはとても印象深かった。

イリューダの回想の中でアドナーとドーヴェの姿が……。
前作のアドナとドヴェと同じビジュアルで何か関係のあるように映る。
彼女たちは101・102という番号で呼ばれていたが、知的に欠陥があると判断されてイリューダとともに破棄されることになる。
迫りくる焔の中で彼女たちは自分たちが火事に遭ったのでなく『棄てられた』と確信した。
そこで颯爽と救いの御手を指し出してくれたのがリョウト。
彼は、破棄されるはずのイリューダを引き取った。訓練校にも通い、首席で卒業した彼女は晴れて今の立場を手に入れる。

なぜ、彼女がリョウトに執心していたのかが分かる。
彼女を絶望の淵に立っていたのを救ってくれた人だからか。
でもそんな彼女のことを好きになってしまったキョウシロウ。うーん三角関係とはつらいものですなあ……。

Bad End
ハイブリッドとディゾルブの交配種であったというイリューダは、一人単独行動に出たところ、ピャートと後に彼女が名付けるエルシドと出会う。
だが、ピャートの様子がおかしく、命からがらで彼女を敵のエルシドから身を守ってくれた。ピャートには声が聞こえた通りに人間を虐殺していたのだという。だが、そんなピャートは声が聞こえなくなり、自身の持っていた人間を狩る能力を奪われるが、同時にそれは、人間と意思疎通できるものであった。

宗教的な敵対者が人間ということを植え付けたとされるエルシドはピャートをスパイとして、人間の情報をエルシド本体と融合されるために生み出された。

その情報を結合させるための能力が無くなってしまったピャートは、無用の人として認識されてしまった。殺処分か、それともずっとここで過ごすのかの二択を迫られる。

イリューダはそんな彼を、昔受けた研究室での仕打ちを思い出し、泣き崩れた。
自身を無能と言い、必死にリョウトに振り向いてほしいと感じていたようだが、その思いは奇妙な形で捻じれていく。
ピャートが消えて霧散してしまい、イリューダの居場所とはいったいどこにあるのだろう。
彼女は思い悩み、自分なりの場所を見つけたようである。

一言で言うと、特攻だな。
エルシド・機動要塞の権威から地球を守ってくれたのは偏に一人の少女なのだった。

もう一つのEndでは、温厚に物事が進んでいった。
ここで衝撃の事実が明らかとなる。
訓練校のメンツは基準値を満たせなかった者。訓練校は、そんな落ちこぼれ(本人談)を収容する施設だったのである。
また、自然交配(性交)で生まれてきた子供はいるにはいるのだが、そういう子供は専門学校に通い、自衛隊か大企業に就職することが決まっている。

ドーヴェとアドナーも協力を惜しまずに戦った結果、エルシドは遂に調和を求める通信が届いた。
通信が届いたっていうことは、向こう側がロボットでなくて知的生命体ということか。

ゼロノ√

あなたにもう一度逢いたい。あたしがいることで貴方を苦しめてしまう。
そして、この地球を救いたい。

世は戦国時代。何回やっても何回やってもお姫様を救えないよ(エアーマンが倒せないの替え歌)。
いつまでこうしていられるのだろう。

信長に討たれたり、あさま山荘事件や、1945年に起こった東京大空襲、長崎の原爆投下。
それらの出来事でキョウシロウという人物がいるという設定。
その出来事1つ1つがキョウシロウの死で終結していた。

だが、その無残の死も何故かデイジーたち訓練生の皆がエルシドとの闘いに出撃し、玉砕して逝った仲間を偲んだりしたのもすべては、キョウシロウがゼロノを追いかけて行った先に待ち受ける世界。
平行世界の出来事とも言い換えることもできる。
絶対者なる者が登場して

「そして、それは君自身の役割だ
君がこの世界を破壊して ……

そうしてこの世界の神になるのだ。
私の言うとおり、まずは人類を絶滅させることだ」

と彼を誘惑するようなことを言った。
しかしながら、この「スティルスーツ」の有能さは人間の英知を凌ぐことこの上ないと思われる。
このルートでの戦闘は「スティルスーツ」無しで闘えるとは到底思えない。
「絶対者」に口論で打ち勝つことができたのも「スティルスーツ」の賜物と言えよう。
キョウシロウは宇宙全てを凌駕させる力を宿しているという論法でねじ伏せるやり口には「絶対者」も到底手を出せないようであった。

お願い……私がどんな姿になっても忘れないで

絶対者はキョウシロウの未来に起こる「可能性」というもの。

自分の家族や地域、或いは国を守るために闘うのであるが、果たしてこの戦いの意義とはどこにあるのだろうかと自分に問いかけるが一向に答えが出てこない。理由がなく無意味な戦いこそが不毛戦である。

Append End

夜な夜な「スティルスーツ」が自立しているのを利用してどこかに行っているのを目撃したキョウシロウは後をつけてみることにした。
5体ものシズハの裸姿を見ることができたが本目的はそこにはない。

「スティルスーツ」の後を追うと地下の開けた土地に巡りついた。
墓石が立ち並ぶこの広場はかつて、人類へ偉大な功績を称え、その敬意を示すために建立されたもの。
その中にある一番立派な墓石には「最も偉大な功績を残した、人類の救世主」として主人公の姉、イサミの名前が記されていた。
「スティルスーツ」が故障したのか?と思わせるがそこにはちゃんとした理由があってのこと。
女性としての人格を持っている「スティルスーツ」が細部まで覚えておこうとしたために起きた、一時的なメモリー不足によるものだと判明。
人間の脳は覚えることも重要な働きだが、忘れるのはそれ以上に重要なことなのである。

Grand End(ネタバレあり)

『ちいちゃんのかげおくり』を思い出した。
雲散霧消した彼らは「この世界」ではいなくなっており、これから移動する世界では生きているし、彼らの活躍がなければ無事に地球を守れなかったと考えられる。
ゴロウとミュウの姿がないと思ったら、エルシドであったらしい。
ゴロウは人類絶滅派の代表で、ミュウが人類共存派の代表をしており、人類社会を観察していた。

キョウシロウは、この宇宙全体を破壊し尽くほどの威力を持った爆弾とし、次いでゼロノは起爆装置のようなもの。
彼と彼女は無意識下で惹かれ合うことで因子は、忽ちに開かれ凶暴な爆薬となりうる。
さらに、『正義の味方』として自称してきたエルシドは、爆弾を消すために地球に送り込まれたのだという。
とすれば、キョウシロウを消すために地球に送られた。
何故、無作為に地球に送り込まなかったのか。
効率を重視した結果
破壊者の因子に対抗するためには、それに縋るしか術がなかった。

キョウシロウに訪れるかもしれない未来の姿が絶対者とするならば、その彼らが最も恐れた『最悪な状態になってしまったキョウシロウ』であり、『別の平行世界において、ゼロノとひとつになってしまったキョウシロウ』が敵なのだという。

悪の力で悪を制す。
まるで、毒を以て毒を制すのような言葉。
敵を知ることや否定することは、キョウシロウも否定すること。

お姉さんもきっと喜んでいるよ。
私こういう家族系は涙腺が刺激される。
だが、地球に帰還する最中で自立して動いているスーツの姿があった。もちろん、記憶は修復できなかったのだが、こうしてそばにいてくれるだけでも僥倖物。
そして、まるで浦島太郎現象になったかのように、地球時間で言うと20年という長い時間が経過したこともあって、ハヤトは就きたくても就けないと言われていた制服組に就職できたようだ。

次回作への布石……。

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