
麻由紀。どうやら諒人と一目会った瞬間から彼のことを意識しているようだった。
ダブルデートと題し、2人で会うことに。
麻由紀は、人の物に執着する性質であり、欲しいと思ったものに対しては何が何でも手に入れたい性格の持ち主だったようだ。それが、偶然にも姉、文音と好きになった人が同じになってしまった事で、水面下には姉妹間での争いごとが起きていたのだろうか。
諒人と文音は幼なじみであり、ひょんなことから彼女を女性として意識し始める。
このように女性として意識をさせたことで、鈍感な彼と麻由紀の間には蟠りも生じていたようであった。
麻由紀に起こった事故の謎。
何を思って犯人は麻由紀をガードレールのある柵から崖に付き落としたのか。

ギシっと何かが軋むような音がしてきて、文音は、頭がオカシイし…と呟く。
崖から転落した麻由紀を見つけた、第一発見者は文音だった。しかもその時は警察、救急車を呼ぼうとするも、その時はたまたま携帯を持っておらず、近所の家に駆けこんだのであるが、その時に頭を強く打ち、意識が飛ぶんじゃないかというほどに、痛い目に遭った。それにより、後遺症として良われてくるのではないかという個人的な意見を持った。
しかし、文音には「すべて」をまだ諒人に話していないようであった。
現れてくる麻由紀の姿に戦慄した。
若しかしたら、文音があえて麻由紀を付き落としたのではないか。
諒人から嫌われたくないためにまだ諒人に話していないことがあるんでしょ?と訊かれ、返事もできない様子。
自責の念で介護に従事していると文音は呟いた。それは諒人にとって、第一発見者であるにも拘わらず通報が遅れてしまっての後悔が突き動かしていると思っていた。だが、何があったにせよ突き落としてしまった結果として、麻由紀が現れてくるんじゃないかと思ってみたり……。
だが、これは邪推だったみたいで、「殺意」はあったにせよ、殺してはいない。間接的に殺したんだろと言われればそれまでのようなきもするが。いかんせん、明確な殺意はあったが、それははたらずもその願いは叶うことになった。
文音は、また家に戻ったときに、一家全員で過ごしてみたいという願いももう叶わなくなってしまった。
優しい包容力のある文音。一方で自分の欲望のためにはたとえ家族であっても殺人をいとわないという性格を持つ文音。2人の意志が同時に存在している。どちらが本当の文音だろうか。自分でもどちらが本当の自分か分からなくなるみたいなことを言ってもいた。
誰かが死んだとき、亡くなった人を悼むのではなく、自分のことや周りの人のことや機微について必死に考えている。
という言葉もあり、両親が亡くなった時、心に思ったことについても同じことを考えていたような気がすると述懐した諒人。

崖から落下した妹を通報したのちに隣家の人に連れ立ってもらいつつ戻ってみると、周りの風景がにわかに違っていたと漏らす文音。
意図的にラビリンスに来るように家族間の愛情ごっこを終わらし、時間を止めようと文音が思った。この心理を巧く利用したのではないだろうか。

一線を越えた瞬間である。
憂慮すべき点は、文音は本当の事実を諒人に伝えてもなお出ていきたがらないわけがあるような気もするし、何より、麻由紀を発見したあとで風景は変わっていたと述べるシーンが謎。
あと、自分には将来は無い、と涙を流しつつ言った文音の言葉が気になった。
何がともあれ2人に幸あれ!とはいかないんだろうな。

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