一言感想:本作は家族が通院や入院するなど、どのルートでも病院が一つのキーワードとなっていて興味が惹かれた。本作には猫や鯨、鍵など突拍子もない言葉がずらりと並んでくるが、最後までプレイすると一応は理解ができるのかな?という気がした。また、ちょいっと説明不足っていうか伏線もないままに事実が判明してしまうシーンがあり、それに応じて、やや電波系かなと思った。
プレイ時間: 18時間
プレイ順:Prplogue→坂下 唯々菜→新田 仁→ノーマルEnd→西野 佳純→有村ロミEnd①→有村ロミ②
プレイ難易度は簡単。ずっと同じキャラを選択していれば自ずとEndにたどり着ける。
オープニング主題歌:新世界α
歌詞は「3月2日月曜日」から始まるのだが、真夏の出来事である。その齟齬が含みを帯びている気がしてならない。
■□アインシュタインより愛を込めて□■
人の気持ちが分からない奴だと言われる。
だけど人の気持ちなんて、誰に分かると言うのだろう?
夏のはじまり。
北牧学園2年生。試験で毎回首位の愛内周太(あいうちしゅうた)は、はじめてその座を明け渡す。
トップになったのは「有村(ありむら)ロミ」という、ネットで先鋭的な論文を発表し続ける、
謎の少女だった。
そして、周太はロミにある相談をもちかける。
「愛内周太(あいうちしゅうた)」「有村(ありむら)ロミ」
2人の天才の出会いをきっかけに、
はるかな夏の冒険が始まる。
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Prologue

Prologueの初めに特殊シナリオが発生した。
人の気持ちが分からない奴だと言われる。
だけど人の気持ちなんて、誰に分かると言うのだろう?
という強い信念を持つ周太がなぜそういうような性格になったのかを語られる。
Prologueでは科学特捜部を創設するように有村ロミから依頼され、紆余曲折あって科学特捜部が創立される部分まで描かれる。
プロローグなのでエロシーンは無いし、展開もおさわり程度であった。
有村ロミが科学特捜部を創立させた理由は、切磋琢磨して周太がコミュニケーションを図っていくことに意味があるということを予見していた。事実、この仲間を集めるために奔走していた時期は発作は起きなかった。必死になれば発作のことを忘れる。そのことが糸口になれば良いと思った。
頭は良くても結局何もすることがなく勉強をしているという彼は、その仲間を作っていくことで生きる力が湧いてきたようであり、ますます今後の展開が楽しみになった。
坂下 唯々菜~ひとめ惚れした少女~

吹奏楽部である彼女は、屋上でラッパを奏でてくれる。
吹奏楽部でラッパとは聞いたことがないのでおそらくは、トランペットだろう。ラーメンやガールズメタルが好き。吹奏楽部とガールズメタルって合わない気がするが、趣味なのでそれには突っ込まないでおこう。
家族の人や周の人に認識されなくなりつつあり、唯一認識してくれる周太を頼る。お風呂に入るときも手をつなぎたいという願いで画像のようになる。うっひょーと思ったのも束の間、この後は電波系の少女かな?とも思えるほどの怒涛の展開が続く。
家族や学園の友人などに会うもいなかったように無視され、彼女が挨拶すると、そこにいたのかという具合に認識をされていくのだが……。
このルートでは、運命共同体ともいえる唯々菜と周太が運命に屈することがないままに物事を解決していく。そこには山あり谷ありで良いことも悪いこともあるものだ。禍福は糾える縄の如しだろうか。唯々菜は
仮の名前であり、本来の名前は界狩 蛍である。テレパシー能力を持った少女であり病院で生活をしていた。
小笠原諸島にも行きたいと願っていたが、鯨や猫の姿に謎めいた周太の感覚があったことが後々の展開に響いてくる。
新田 忍~興味本位で入部~ +ノーマルEnd
新田 忍

親から引き継いだレストランを一人で経営しているようだ。親に相談しようにも相談に乗ってくれる気配はない。だからこそ自分ひとりで考えるしか方法はないのである。といっても原価と提供している品の価格には、かなり見直すポイントがあるらしいので周太に教えてもらうことで何とか経営難からは脱却に成功したようだ。店のことを周囲の人に相談しても無下にされてしまう。まるでなかったように、頑張ったほうだよ、と的外れなことを言われる。だが周太は、ずけずけと指摘してくれる。そんな彼に忍は絶大な信頼感を得ていた。

いつしかこんなこともあったことも夢のまた夢か。
大学を休学していたという彼女は、ある事件をきっかけに退学するらしい。しかし、朧気ではあるものの確かに内に秘めていた夢を諦めてほしくない周太は自分の気持ちをありのままに述懐する。
星 まりす

周太を「世界の敵」と形容する。確かに、世界を滅ぼしてもいいとか、こんな世界など無くなってしまえとか。精神的に周囲の人との考えが合わないと考えていた彼。だが今は、周囲の人に何とか合わせている。
子は鎹をどこか思い返す。子は両親同士を結び付ける建具として働く。
唯々菜も同じ彗星機構に攫われてしまっていたのか。「世界の敵」とは周太のように彗星病に罹ってしまった人のことを指しているんじゃなかろうか。目的の分からない「敵」と戦い、疲労していく周太はいつしか、最愛の人を忘れつつあるようだった。
このEndでは、周太と忍の今生の別れから邂逅に至るまでの経緯が描かれていた。遁走劇というよりかは、飽きてきたために近い。極めて普段通りに過ごす傍ら、忍び寄る脅威との戦いぶりに、最愛の人を人質に取られてしまい、否が応でも戦わなければならないという新状態が描かれており歯痒かった。
Ending Theme:願い星
ノーマルEnd
この町を光で灯すようにとロミに言われたことを思い出す。だが、光でいっぱいになれば、星は一等星や二等星よくて三等星を観測できるのが関の山だろう。蛍なんてものも見えなくなってしまう。蛍の光窓の雪~文読む月日重ねつつ~

研究所の施設に入ることを承諾した彼に施された手術は恙無く事は解決したようである。代わりに、記憶力や思考能力を失い、自分が誰かも分からなくなってしまった。その時に謎めいた少女から言われた言葉が
君だけに愛を込めて、祈りを捧げているよ
だ。「愛を込めて」なのか。「アインシュタインより愛を込めて」というゲームタイトルと関係があるように感じた。
もうここにはいてはならないとも言っていた。唯々菜ルートで切れ目の謎めいた女性が周太のことを「世界の敵」と形容したが、この研究所では秘密裡に何かを行っているのだろうか。
西野 佳純~最下位の成績~

佳純や猛は追々試験の常連だそうな。海崎 新太(『Re LIFE』より)もびっくりだわw
佳純はボクシングの試合で勝ちたいと願い、周太はそれを支持した。支えあってマネージャーとして物事に向き合っていく傍ら、自分の本来持っていた病気から逃避したい思いも感じられた。
本やネットで聞きかじっただけの周太の知識を佳純は受け入れ、言葉だけではなく実践していく。そうしてどちらが愚かであるかを認識したのだろうか。

青春の一コマ。佳純、周太と猛の参院は穴場の海水浴に行く。これが「周太」として最後の遊戯になることを予期する。
鍵や鯨も一つキーワードとなってる気がした。機関は周太の治療と名を打って、本当は別のことを考えてのことだった。
医師たちは周太をモルモットにしたかったのではないかという考えは、悉く外れてしまう展開になってしまった。絶好な機会ともなりうる周太を医師たちは決して手放しにすることがなく、記憶喪失になったのも医師が恣意的に行ったのではないかと感じたのだが……。

最後に見せたこの表情の背後に絡んでくる機微が美しい。
このルートでは、逃げるが勝ちを言い表しているんじゃないだろうか。自分の人生に対して責任を持てるのなら、逃げても良い。だが、自分の人生にYesと言えるのかどうなのかが湧かないからこそ人は悩む。そうして悩み、辿りついた先が施術を受けるという決断だった。後押ししいてくれた佳純のためにも、もう一度すべてを擲って学んでいくというルートにはやや感動した。
有村 ロミ(End①・End②)
Open The door 「新世界への扉」ってわけなのか。
坂下唯々菜のルートを踏襲して進行していく。坂下さん、きれいな子だったことは覚えているのもも、僕もちょっと思い出すのに時間がかかってしまったw僕もこの病を発症してしまったことでよろしいのかw
クラゲの夢。∑という名の少女。

∑という少女は
扉を開けますか、開かないですか
という『ローゼンメイデン』を思い出す言葉を周太に投げかけて霧散していった。猫ももうここに用はないとでも言いたげに後にした。残る周太は独りきり。まるで頼れる仲間はどこにもいなく、自分で向き合わねばならない暗示にでも掛けられたように。
鯨の正体は、小笠原諸島に彗星(その正体は、はるかに進んだ文明を持った星から飛来した情報体であった。その情報が放出されるとこの星は木っ端みじんになる)が落ちたものだという。その彗星は海の底で生物に擬態し、今もどこかで彷徨っている。その生物こそが鯨なのだという。つまり、鯨とは情報体であり、研究者には想像もできない程の知識が入っているらしい。
唯々菜が急にいなくなってしまったことは唯々菜ルートをプレイしているからわかったことであるが、小笠原諸島へ合宿してきた一行に不意に合流してきた。そのときの皆の反応はそこに唯々菜がいたのような反応をしたということで???という状況になり、置いてけぼり感はぬぐい去ることができないまでも、周太の思いとともに迎えたエンディングには置いてけぼり感はそこここに、謎の感動感があった。
周太はこの夏に思い出をくれて、ありがとうという手紙を残して、最期はその身に宿るすべての力を出し切った。
GRANDルート

愛内博士は魂の存在を証明し、脳に交信を行わせる存在である、と。理論上あると思われていた暗黙物質。その正体が魂である。疑似的な脳の魂に接続することによって生前のネズミと同じ存在を創ったようである。
供給源は魂と言っていたし、限定的にアクセスが許可されているようである。だが、それって危険じゃないか。もし何らかの手違いでそのアクセスが数多に利用できるようになれば、利権問題が発生する。
アニメ版『ぼくらの』で、ジアースの電力を使えばこの世にあるエネルギー問題が解決すると思われていたが、その電力を海外の良からぬ人に使われて、情報が抜き取られるのではないかという危惧に気が付いたときのような気がした。
叔父さんには最後の最後で食い止めるすべがなかったので周太の父親を殺した。でも、周太にはかけがえのない友人がいる。それがわかったのは皮肉にも、肉体を失くしてからのことであった。その果てにはいったい何が待ち受けているのか。



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