Laplacianのゲーム第3弾ということで今回は「未来ラジオと人工鳩」の感想を書きたいと思います。
2061年、日本。
順風満帆にも思えた、第7世代移動通信システム用自生インフラストラクチャー。
通称、人工鳩と人類の進歩はいとも簡単に破滅へとつながっていく。
かつて世界の通信機能を担う存在として一目を置かれていた人工鳩だが、今では人類の「敵」でしかない。あらゆるものを人工鳩による通信に頼りきりだったことも手伝って、人類は脅威におびえつつも退廃した町でひっそりと暮らしていた。
これは、そんな世界をもう一度、人と人とが繋がれる世の中にしていく物語であると感じた。
ソラはかぐやと出会うが2人の生きていてほしいという願いは1つしか叶うことはなかった。共通ルートの結末ではやや鬱になった。鬱というよりかは虚無かな……。
ただその物語に終止符を打つべく、自らの宿命に打ち勝つ物語なのであるという感想を持った。
プレイ時間:16時間
プレイ順:月見里水雪→越百秋奈→薊野椿姫→葉月かぐや→その他
OP主題歌:栖鴉の綿(せいあのわた)
ED主題歌:Wish You Were There
ED主題歌:You know me, I know you.(水雪)
ED主題歌:Dear Autumn(秋奈)
ED主題歌:Never Too Late(椿姫)
ED主題歌:栖鴉の綿(せいあのわた)~ED Edition~
あらすじ
2061年7月10日、日曜日。千葉県鳴山市。主人公・月見里ソラ(やまなしそら)は、ありもののパーツを繋ぎあわせてラジオを再開発した。
「……間に合った」
人工鳩が電波を喰うようになってちょうど15年目のその日。
父親が遺した固定型無線機で、ソラはラジオ放送を始めた。慣れない放送が始まった翌日、ラジオが不思議な放送を受信する。
「–8月1日のオオゾラ落下事故の続報です。
第1ターミナル跡地で死亡したのは、月見里ソラさん。
その他、鳴山公空学園でも怪我人が出ています」それは、未来からのラジオ放送だった。
「3週間後に……おれが、死ぬ……?」
放送を聞いたソラは15年振りに、鳴山空港第1ターミナル跡地に足を踏み入れる。
かつては日本の玄関口だった場所。そして、ソラが両親を失った場所。
その建物は朽ち果て、かつての威厳を失い、無数の人工鳩の巣になっていた。そこでソラは、銀髪の少女に出会う。
指にとまった人工鳩の頭を撫でながら、少女はまっすぐにソラを見据える。「……キミは、死なないよ」
呆然とするソラに、少女は静かに伝えた。
「わたしが、そう決めたから」
「ソラに……。あなたに、笑って空を見上げてほしいから」こうして、月見里ソラと葉月かぐやは出会った。
キャラ紹介
葉月かぐや(はづきかぐや) CV:神代岬

廃墟となった鳴山空港第1ターミナル跡地に住んでいる女の子。
葉月伊耶那博士の娘。理知的で、感情の起伏があまりない。
13才で遅めの初潮を迎え胸も膨らんできたが、廃墟に1人で住んでいたためブラジャーはつけていない。
幸いにもかぐやの胸のサイズは2018年現在でいうところのCカップ程度なので、
ブラジャーなしでもクーパー靱帯は切れておらず、美しいお椀型の美乳を維持している。
乳輪は小さめで色素が薄いことが、立ち姿から容易に想像できる。
薊野椿姫(あざみのつばき) CV:海野佳衣

鳴山公空学園の最年少教授。29才。バイセクシャル。
人工鳩が電波喰いを始める前の数年間、葉月伊耶那の右腕を務めていた。
自分より頭のいい人間は葉月伊耶那ただ1人だと確信している。
ヘビースモーカーで、椿姫とのキスはタバコのflavorがする。苦くて、切ない香り。
愛煙の『π-lite(パイライト)』は100年以上パッケージが変わっていない伝統的な銘柄で、タール17mg、ニコチン1.4mg。
大きいバストと青色のタンクトップの組み合わせは、2061年になっても当然のように全男子の視線を集めている。
だが本人は全く気にしていない。そういう凛とした態度が、さらに男心をくすぐる。
この容姿で教授まで上り詰めたとは。これはイチモツでも握っているんじゃないかw
しらんけど
越百秋奈(こすもあきな) CV:小倉結衣

鳴山公空学園の学部2年生。15年前の墜落事故の遺族の1人。
明るく自然体で、不快感なく人との距離を縮めて打ち解けられる。
学園のコーヒースタンドは、彼女がアルバイトを始めた日から売上げが7倍増した。
「可愛い」と言われれば素直に「ありがとう」と切り返せるタイプで、変に卑下をしないところに自己肯定感の高さが滲み出ている。
可愛さを自覚した奔放な美少女の自然体というのは、童貞にとってはアルマゲドン以外のなにものでもなく、
彼女に「よっ」と挨拶をされただけで前屈みになる男子学生多数。
肩を叩かれようものなら暴発もあり得る。女子の軽率なボディタッチはよくない。
月見里水雪(やまなしみずき) CV:春乃いろは

鳴山公空学園の、付属2年生。主人公の義妹。血は繋がっていない。
義妹だから。年齢は諸般の事情によりここには書けない。
両親を失い孤児となった主人公を引き取った月見里家の1人娘。
エグい下ネタをバンバン言う一方で、本音を漏らすときは相手の目を見られなかったりする。
童貞の兄を日課のごとくからかうが、ツインテールの義妹なので主人公は黙認している。
お茶が好きで、腰に茶柱のマスコットを付けている。名前はお茶の魂とかいてちゃんこんくん。イントネーションは男根と同じ。本人は気に入っているが、周りには緑の男性器にしか見えない。
月見里ソラ(やまなしそら)

鳴山公空学園の学部2年生。機械工学専攻。童貞。童貞
15年前、鳴山空港に墜落した旅客機に乗っていた。
電波喰いが始まってからの閉塞感を打破しようとラジオを再開発したが、
本人もその機能を全ては把握できていない。
表面上は前向きだが、人工鳩への恨みは深い。
この人には、15年前の記憶がトラウマとなっている。またオッドアイだがこれもまた意味があった。
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オオゾラ落下とは、昊(おおぞら、葉月伊耶那の作った宇宙探査機)の落下であり、ソラのラジオは未来を予知するのだとか。その未来の予言ではソラが死ぬということが言われていた。
椿姫は、人工鳩を創った伊耶那の弟子ということであり、その知識を洩れなく話す。
科学には罪はなく、使う人の問題
という言葉には心理というか、開発側の意図に反した行動をするのはいつも利用者のほうだという事実を浮き彫りにしている。
その宇宙探査機は人工鳩によって完全に包囲されており、電波喰いによって宇宙探査機が落ちてくることを止めたい。

ここでOPです。導入が少々長くて結構疲れちゃいました。
ビジュアルとかもかっこいい。
共通ルート
水雪、秋奈、椿姫、イシマルが揃って人工鳩を斃していくべく策を講ずる。
人工鳩を創った葉月伊耶那の右腕として勤務していた薊野椿姫を引き入れたというのは頼もしく、メンバーにとっても多大な存在。だが、主人公はその人の威光にあやかることはしなかった。
淡々と人工鳩を駆逐すべく、ラジオ放送に精をかける。そうしないと、人工鳩の繁殖は止められないからだ。その知識を教授してくれたのは椿姫だが、その知識を充分に発揮していくかのように思えたが、最後の展開には葉月伊耶那の遺志が働いていたのではないかと思った。
人工鳩が死ねば、かぐやも死ぬ。オオゾラが落ちれば自分も同じく死ぬ。
まさに救われないルート。
正しさなんて、立場が変わればすぐに揺らぐんじゃないのか
という言葉は、それが本人のためにしていることでも、される人からしてみればお為ごかしということもありうる。人間関係の難しさ、不合理さを思い知らされた。一方にとって善とされる行為も悪となりうるのではないだろうか。
身を賭して誰かを守る。その遺志が強く出ていた印象。
月見里水雪(やまなしみずき)
あの事故を境に声と味覚を失っていたソラを旅行に行こうと提案した。
記憶を取り戻すのを少し考えたいと選択すれば攻略できる。
そこには、優しいウソが隠されていた。ときにはその嘘に乗ってやるのも一つのコミュニケーションの手段だろう。
茶葉旅館で大将と出会うが、ここでの大将は小難しいタイプであったが、ただ徐々に打ち解けていくのはさすが水雪だなと思った。この子の持っているコミュニケーション能力や、茶魂くんでさえも、一役買っている。

お茶の効果か、脳で何らかの力が働いており、それが発話障害や味覚異常が起こるのではないかという考えはよくある。このゲームはそのような描写はなかったにせよ、何らかの力が働いていたのかなと匂わせられた。
義妹の関係ではなく、恋人としてみっらいを行きてえ行くことを選択した二人。
そこに何が待ち受けているとしても、二人なら何でも乗り越えていけるという希望を与えてくれたEndでした。
越百秋奈(こすもあきな)
記憶を思い出したい、ラジオ放送を手伝いに来るを選択すれば攻略可能。
思い出すとなれば、ラジオができたきっかけやどういう経緯で今ある現状があるのかをつぶさに把握している必要がある。

その記憶を取り戻す中で謎の壮年の男性に出くわす。この男性は、毎日決まった時間に花壇の掃除をしていたり、家の掃除をしていた。そこまで見ると別に気にするほどでもない気がするのだが、電子音が鳴り響くとこれまでと違った行動をする。
この男性の正体については触れないでおく。
彼女には、事故のことを忘れたい一方で、秋奈と名付けてくれた父親の記憶は忘れたくない。
忘れたい記憶と忘れたくない記憶が入り混じり、切なくなった。
人工鳩に対する復讐よりも、今ある状況を受け入れたい。だからこそ、今はわからないことばかりでも前に進んでいこうという気分を覚えた。
晩年は認知症で僕のことも忘れて逝った祖父のことを思い出し、少し泣きそうになった。
電波喰いと認知症患者に行ってきた治療のことがひとつの伏線となっているのか。
またソラの記憶障害の訳は、何かわからないが、一応すべての記憶は元に戻った
薊野椿姫(あざみのつばき)
ラジオを手伝うのは「まずい気がする」を選択すると攻略できる。
かぐらの声で未来のラジオが流れてきた。この現象に対して、椿姫は、かぐやも生きている世界もあったのではないかと仮説を述べた。その仮説はさておき、そういう現象もあるのだなということで……。
ソラは、セックスシーンで
これが「つながる」ということなのか
と心情を吐露した。
今まで散々「つながる」ことで、世界中の人たちともう一度交流ができる世の中にしていきたい、と声高に語っていたが、世界中の女とセックスをしていくことで繋がろうという魂胆かな?(冗談です。悪ノリしてすみません)

男を嬲り、誑かす「女」としての姿と男嫌いのバイセクシャルとしての姿の対比がこれまた素晴らしい。
ソラが散々忌み嫌っていた人工鳩がソラにとっての生命線だったということがわかり、暗澹とした気分になった。
このルートでは、世界の理を知ったソラは自分が死ねば救われるという考えに至り、自殺を決意する。だが、、それを引き留める椿姫の表情がいつもと違っていた。てっきり僕は、好きにしろ、とでもいうのかと思ったら
また私を一人にするのか
と椿姫はソラに言った。一度は愛した女にこう言われると、継ぐ言葉が浮かばなかった。
葉月かぐや(はづきかぐや)

母は葉月伊耶那である。
人とつながると、生きるのが痛くなるんだね
の言葉には、そう考えてしまうだけの何かがあった。
他のキャラクターで日付が変わるころにラジオからかぐやらしき声で、未来の様子が語られていたが、この現象はこの世界線での出来事だったのかと腑に落ちた。
また、繋がりを求めるソラは、かぐらと「繋がる」ことで唯一無二の存在となりえた。繋がることがセックスのことを指すのか、或いは別の他のことを指すのかはあんまり触れないでおこう。
ただ最後の
人工鳩が覆うこの空を、今は大好きだ
と述懐するシーンがあった。人工鳩を嫌悪していたソラが、今では空が大好きになる過程を描いた物語と考えた。
皐(おおざら)が空から落ちてくるという事実により死亡が確認されたのであるが、未来に起こりうることだという解釈がされていたかのように思う。だが、実は、かぐらがアナウンサーだとすれば話は変わってくると思った。「15年前」にはすでに一回ソラは死んでおり、自分だけが生き残った。ソラが亡くなってしまったことで、彼が「生きている世界線」を予期しての放送だったのではないか。そう考えると、落下事故で亡くなった人が代わる代わるになったのも首肯できる。いわゆる、他人よりもソラのことが大事なのだというかぐらの想いが、今回のことを複雑にしているような節もある。
これは一つの僕の解釈の一つだと看過していただきたい……。
だが、お互いの生きていてほしいという願いは別の意味で叶うことになる。
終わり方には賛否両論あるとは思うが、私は、未来を変えるというのがメインであるこのゲームに於いてはその熱量を評価したい。
その他
オマケルートをすべて閲覧したのちに選択することができる。
一応最後の記憶が戻ったりとかで葉月伊耶那の罪はすべては償えなかったものの、今も人工鳩は宙を舞っている。それはまさしく、ソラやかぐら、椿姫のおかげだろう。
だが、ここはCGがほしいところ。ま、ここはおまけEndの延長線上にあるのでこれはこれでもいいとするか。


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