一言感想:些細なことでも歴史を塗り替え、現在の科学の知恵を与えようとしてもタイムパラドックスがおきて歯痒さが伝わってくる。
ただ、修二と四五は、ラビに知っている知識を洗いざらい話してしまうんですよね。
時代背景として、女性科学者に生まれたから生きづらさや論文が評価されないこと不甲斐なさを感じるのかなと思いきや野望もあり、アリスには幸せになってほしいと思った。
とはいえ、彼女はもう十分に幸せなのかなと思うので野暮という他ないだろうか。
未来を変えてしまう、『steins;gate』とは違い、未来を変えてしまった過去を受け入れて先に進もうとするところが特徴。四五、ラビと春は順番が固定されており、容易くプレイできた。
四五、ラビや春のキャラクターに継承された想いがあり、表情には出さないが不安やプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも前に進んでいくという描写がよかった。
一方、アリスはプリンキピアの執筆をするために邁進していくが、その過程に於いて物語が1つに収束していくような切なさを感じた。
プレイ時間: 18.5時間
プレイ順:四五→ラビ→春→エミー→アリス
主題歌:風の唄(OP)
:空の約束(ED)
:風の唄(Ending Thema)
ストーリー
『ニュートンは、天才少女のペンネームだった!?』
主人公・朝永修二と幼なじみの一二三四五(うたかねよつこ)は、
行方不明になった修二の祖父を追ううち、ひょんなことからタイムスリップしてしまう。
その先にいた一人の少女。
彼女こそが、後の世に語り継がれる近代科学の父
アイザック・ニュートンその人だった!
ニュートンは、ちっぱい美少女だったのだ!
そうとは知らず、彼女の目の前で林檎の木を派手になぎ倒してしまう修二。
「今……何か、とてつもなく重要なことを思いつきそうだったんだぞ!!」
なんとふたりがタイムスリップした瞬間は、
ニュートンが万有引力を思いつくその瞬間だったのだ!
こうして、修二の浅はかな行動から世紀の大発見は消失した。
そのうえ、まるでドミノ倒しのようにどんどん変わっていってしまう重要な歴史。
時は17世紀!
舞台はイギリスの名門、10の橋が架かったテンブリッジ大学!
修二は果たして歴史を修正し、現代に帰ることができるのか!
Laplacianが送る【大いに笑って少しホロリ】なタイムトラベルアドベンチャー!
fanzaより
人物紹介

アリス・ベッドフォード CV:秋野花
飛び級でテンブリッジに入学してきた天才少女。
図書室の本に勝手にメモをする癖があり、蔵書のほぼ全てにアリスのメモがある。
「お前、なんか童貞っぽいな。年下のあたしでも分かるぞ。」

一二三 四五(うたかね よつこ) CV:白雪碧 →
身の回りのあらゆるものを計測し、あらゆる言葉を定義しないと気が済まない定義ガール。 修二の幼馴染みであり、幼少期に修二の祖父から科学の楽しさを教わって以来、ずっと理系畑を歩んできた。 名前の読みが難しい。
「可愛いとか格好いいとか、そういう抽象的な話はやめてもらえますか」
←ラビ・ジエール CV:民安ともえ
理論を積み上げて結論を出すアリスとは対照的に、直感と推測で結論を導き出す奇才科学者。 自分の直感が”Yes”と言えば科学も魔術も気にせずに取り入れる自由な発想の持ち主。
修二がこの時代の人間ではないと誰よりも 早く見抜き、猛烈に好奇心を抱く。
「ちっちゃい乳房でも興奮するのか? ナゼだ? 理由を教エロ。」
修二がこの世界の人間でないといち早く察知した彼女は、寮に入れるよう帳簿に細工をして、代わりに等価交換で情報や修二の持ってきたものを観察していく。秘密主義は度を抜いており、魔女狩りの被害者ということで宗教と科学が習合していた時期は悲惨だと思った。
人間の大発見は、いつだって偶然の産物ダ
この言葉でセレンディピティを思い出す。偶然の産物、

九十九 春(つくも はる) CV:小倉結衣
17世紀のイギリスで天文学を学んでいる、日本からの留学生。
イギリスで生まれた春は一度も日本を見たことがなく、強い憧れを持っている。
アリスの唯一の理解者であり、互いに支え合いながらテンブリッジでの日々を送っている。
「この星空だけがね、わたしと故郷の、繋がりなんだ」
エミー・フェルトン CV:春乃いろは
幼い弟たちの為に、テンブリッジで勤務しているメイド。
アリスと春が住んでいる寮で生活していて、掃除洗濯料理と、寮生の世話係も兼任している。 仕事中は、力チューシャは外さない。
つまり彼女のノン・力チューシャ姿を見られるのはプライベートな時間だけ。
そして、ほぼ毎日働いている彼女とプライベートな時間を過ごせるのは、特別な関係の人物だけ。 だからこそ、力チューシャには、価値がある。
「わーいジャガイモっ! わたし、ジャガイモ大好きです!!」
朝永 修二(あさなが しゅうじ)
科学嫌いの思春期男子。主人公。童貞。 聞きましたか?童貞なのだ!
日本で二人目のノーベル物理学賞受賞者の祖父(おそらく、朝永 振一郎だと思われる。読みは「ともなが しんいちろう」)と比べられる学生時代を過ごし、気付けばすっかり物理アレルギーに。
自由奔放だった祖父がイギリス旅行に行ったまま行方不明になり修二も現実から逃げるように冴えない音楽活動をしていた。 そんな童貞が、幼馴染である四五との再会をきっかけに、ひょんなことからタイムトラベルしてしまう。
「血は出ないけど、言葉だって立派な凶器になるんだからね!?
以下、各キャラの感想
一二三 四五
一二三 四五と書いて、「うたかね よつこ」と読む。
さすがにこれを初見で読める人はいるのでしょうか。
趣味は、あらゆるものを計測すること。
それには当然、時間も含まれている。その趣味が活かされるとは思わなんだ。
パラレルワールドなんていうのは存在しない。その証拠に科学雑誌『Newtone』も別の名前に変わっている。
ニュートンが万有引力を発見しなかったのなら、科学の進歩に重大な遅れを伴うことは必至。だからこそ、それに抗おうと画策し、ついにある策を練ることに成功した。だが、ここでも新たに問題があり、科学には常にリスクが伴うことを思い知らされた。
修二が存在するのもおかしい。父親殺しのパラドックスなのだろうが、色々と訳があるのだった。血は繋がっていなくても、昔取った杵柄のごとくタイムマシンを修理するところでは、やはり、科学が好きなんだろうなとしみじみと感じた。
血のつながりはなくとも、確かにあった記憶や体験は受け継がれる。とはいっても2017年よりはるか未来へと飛ばされた二人は、そこでじっくりと未来へと向いて歩を進めていく。
また終盤ではわが身を挺して、修二を守った修一郎の勇姿にとても勇気づけられた。
あと絶対的な科学者の背中をいつも追っていた修二の独白を聞いても尚、向き合うと心に決めた四五の姿も心に澄み渡って行くような気持ちにさせてくれた。
ラビ・ジエール
好奇心旺盛で気になったことは、とことん突き詰めないと気が済まない研究者タイプ。
その実験を愛する心は母親を見て育ったからだという。
冷静に物事を行う部分もあったにせよ、やはり自分の母親を魔女狩りから救いたいという瀬戸際に立たされれば、冷静さを欠くことになる。
タイムマシンで過去に戻り、母親を助けたがそこで二人のラビが存在することになっていくが、そこで問題があり、過去に戻ってやり直したラビと母親と仲睦まじく過ごすラビには性格も真逆なタイプに育っていた。だが、そんな様子を切々と語る「過去に戻ってやり直したラビ」はどこか、我慢しているような雰囲気を隠していたようだった。
愛情を与えてくれた母親と過去に戻ってやり直したラビの邂逅のシーンでは、心がほっこりした。

晴れて二人は恋人同士に。別け合っていた母親との縁を作り出して、この世界に住処を与えてくれたので当然の成り行きだった。だが、現在進行形で問題がもう一つある。
ここではあえて割愛させていただくとして、
人間関係とは実験をするよりもはるかに厄介な問題である
の言葉にはぐうの音を出なかった。
このルートの終わり方がなにやら起きそうな予感がしたので、2回目をしてみると、なんと追加テキストが表示された。
これには驚かされた。たぶん
???さんとはもうひとりの母親と仲睦まじく暮らしていたラビじゃないのか。魔女狩りに遭う危険のない異国に行ったんじゃなかったのか。もしかして、この国ではもう、異国に行く必要はないとかで帰ってきたのか……。
九十九 春
つくも はると読む。これは、九十九電機でお馴染みだから読めた。
エドモンド・ハレー
春は科学者になるべく、日夜、寸暇を惜しんで勉学に勤しんでいる。
誤解ではあるものの、共同で出版しようとしていたアリスとの思いが交錯する場面では、アリスと春の気持ちが分かりもやもやして痛々しく感じた。
「結局人間ってのは、その時与えられた環境の中で、
精一杯自分の幸せを掴むしかねえんだよ。
その刹那に悔いを残さないようにするのが、俺の処世術だ」
どの選択肢を選んでも自分の信じた道を行くようにと諭した言葉。
ロバートフックとの対決のシーンでも格好良かった。フックが行っていた他の研究者が執筆した研究成果を恰も自分がしたかのように見せるという行動に怒りを感じたが、それを払拭させるほどに鬱憤を晴らしてくれた。
エミー・フェルトン
エミーもまた科学知識にたけているようだ。というか、この時代の王立協会の学会員の知識をはるかに凌駕するのではないだろうか。そんな彼女は
アリスの実の妹であり、母親に捨てられたと切迫したように言うアリスとは違い、事情のあった母親を擁護する発言により二人の仲は悪化してしまう。
ひょんなことから万有引力の法則まで打ち出した。

継承されてきた四五、ラビや春の思いを受け継いでいくことは、プレッシャーや不安が押し寄せてくる。それらに勝てるように歩んでいくという決断を取った勇姿に励まされた。
さようなら……私の大好きな人。お元気で
というシーンで切なさと悲壮感で何も手が付かなくなった。
アリス・ベッドフォード
実験一筋だが、春のことを思う人間性溢れるキャラだと思った。だがそれが仇となり人間関係がこじれることになる。エドモンド・ハレーの友人。ちょい舌足らずで喋る様がまた愛くるしい。
そういう仲間であるし良きライバルでもあるという彼女たちの成長を見届けるのは、もうこれで最後。
ついにタイムマシンは完成し、歴史も元に戻ったので、修二は恐る恐る日本に帰国する予定であると伝えた。だが、真意はアリスにはもうわかっていた。この時間にとどまることはできないし、アリスと一緒に未来の日本に渡ることもできない。これがほかのルートとは違い点だろうな。他のルートでは、修二は未来には帰らないか、未来のほうへ行き過ぎてしまった。
それが切ない。

物語が終焉に近づいて
ありがとう
と悲しげに、修二には悔いを残さぬように満面の笑みを湛えて言った。
おまけルートでは、こうなって笑いで終わった。

まぁ、こういうEndもあっていいんじゃないでしょうか。
誰も悲しまないEndでどこかほっこりする話でありました。

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