サエ

下世話をしてくれた子。
どうやらこの村には、代々村長を務めてきた阿式家、代々巫女を務めてきた永見家。阿式家の補佐役を務めるのは田儀家の人たち。
村外に出ていいのは御三家だけだという。
いつも自信なさげに見えるが、身分制を持ち出すときには、しっかりと自分の意見をそれまでの表情とは違い、逞しいほどに凛々しい顔で言ってのけた。
多分救われたいとか、そんなことを思わないのだろう。来世では救われたいのか。来世を信じているかは、ともかくとして。
誰でも良いわけじゃない……私は……あの森で……迷う人間を……何人も見てきた……でも他の人間は駄目……
ということは幸仁以外に村外の人間は来ていたことになる。

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