【バイオレンス】眠れぬ羊と孤独な狼(CLOCKUP)【感想】

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あるいは、と殺人の物語。

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発売日:2017年12月22日
ジャンル:ロマンノワールADV

感想:やや短め?3時間40分で25%まで進行しました。
それぞれのキャラクター自分の個性を発揮していくけれども、その様子は翳のある陰気臭い雰囲気も醸し出しつつ、どこか彩のあるEndを堪能させていただきました。
殺人鬼と殺し屋という一風変わった話でしたが、愛情と殺人欲求がもつれた心情が吐露された作品で、他のキャラクターのお心理も深く掘り下げたので深く入り込むことのできた良作と感じました。

人間は動物的本能を持ちつつ、理性という本能を制限する存在がある。
その理性という皮が剥がされたときは動物としての本能が現れてくる。
本作で、あざみの殺人欲求が現れてくる描写も理性と本能を描写しているのかなと思いました。

人間は驚くほど簡単に、意味もなく死ぬ。法も人倫も信用も、人間の社会を担保すべき全ては
その瞬間に対して圧倒的に無力だ。
俺たちは、常に取り返しのつかない世界を生きている。
存在するあらゆる万象が、決して目に映る光を追い越せないのと同じように。

「無常の風は時を択ばず」という言葉を彷彿とさせる言葉。
死ぬ瞬間にはだれも手出しはできない。
主人公の母や姉が強姦の末、理不尽に殺害されたのと同じく死は平等にやってくる。

死を人は忌避するし、しかも殺人はしてはいけないものと分かっているが、いざ戦争となると、大義名分を掲げ殺人までする。なんという卑怯な生き物であるか。

どうでもいい話、ギャングを流氓と表記するのは初めて知りました。中国語のお勉強の時間ですかね……w

眠れぬ羊と孤独な狼≪外伝≫(CLOCKUP)【感想】
先日クリアした、眠れぬ羊と孤独な狼の外伝版です。パッケージ版発売日:2021年8月27日曲名カテゴリDance of Wolf -Another Ver.OPプレイ時間:5時間50分感想:悲惨な圧路を辿ることになるキャラたちや脇役の楽しそう...
曲名カテゴリ歌手
Dance of WolfOP柳麻美(MAMI)

攻略時間:12時間
攻略順:本編⇒True

ストーリー

ストーリー

俺は、今夜も眠れない――
新宿、歌舞伎町。
慢性的な不眠症に苦しむ主人公は、ラブホテルの住み込み清掃員として働きながら、無気力な日々を送っていた。
主人公にとって安眠を得る唯一の方法は、人を殺すこと。
そのために『○○団の高級幹部・東儀衛子飼いの殺し屋』という裏の顔を持ち、おこぼれのように時折与えられる殺しの仕事で、なんとか眠りにありついてきた。
危うい綱渡りの日々ではあるが、それでも安定した、平穏な毎日。

そんなある日、主人公はデリヘル嬢・あざみと出会う。
彼女を抱くことでかつてない安眠を得た主人公はあざみを手元に置こうと考える。
だが彼女は東儀に追われており、あざみを手に入れることはすなわち、東儀に刃向うこと――平穏な日常の崩壊を意味していた。

キャラクター

キャラクター

主人公

不眠症に苦しむ殺し屋。常に寝不足でテンションが低い。
日本人だが香港出身の中国人として通っている。
日本名「村木武生(むらき・たけお)」、中国名「曾黒星(ゾン・ヘイシン)」。

歌舞伎町の外れにあるラブホテルの一室に定住している。 日頃はそこの雇われ従業員として無気力に過ごし、仕事が入った時だけ殺し屋として活動する。

あざみに出会い、彼女を抱くことで眠れるようになってから、あざみを手放せなくなる。


あざみ
主人公の住むホテルを偶然利用したデリヘル嬢。
派遣先の客の死で、東儀に追われる身となる。

素性は不明。明るく朗らかな飄々とした雰囲気の中にとりとめのない影を持つ、謎の少女。


仁礼 春彦(にれ はるひこ)
警視庁捜査一課のエリート刑事。
本庁所属でありながら東新宿署の縄張りである歌舞伎町に出没し、何かを探して歩く。
一見優男風だが、柔剣道のみならず様々な実戦的格闘技を修得している切れ者。


鵜飼 紗雪(うがい さゆき)
東新宿署刑事課第四課の女刑事。
法の正義や警察の使命感といったものは欠片も持たない悪徳警官。
歌舞伎町の裏社会を支配する○○団青池会と癒着している。
性格は極めて凶暴で性にも貪欲。


別所 美玲(べっしょ みれい)
早熟で物怖じしない、聡明で気の○い美少女。
年上の男が好み。処女。
歌舞伎町で主人公と出会い、あざみとも打ち解けていく。


雲石穀(ユン シーガイ)
歌舞伎町にある無許可デリヘルの店長。
若い頃は血気盛んな武闘派筆頭として鳴らした上海出身の元ギャング。
落ちぶれた今ではヤクザと警察の支配下に甘んじながら、それでも歌舞伎町にへばりついている。


李剣栄(リー ジェンロン)
雲の経営する無許可風俗店でデリヘル嬢の送迎を担当する年老いた運転手。
温厚実直で嬢人気も高いが、その実かつて歌舞伎町で権勢を振るった 伝説的な中国人ギャングのボスであり、雲の元上司。


ダルマ女
電動車椅子に乗った四肢のない女殺人鬼。
両腕両足は凶器類を内蔵した機械式のロボットアーム。
改造車椅子は最高時速50キロで疾走し、狙った獲物をどこまでも追いかける。
都市伝説の化け物じみた存在。


東儀 衛(とうぎ まもる)
歌舞伎町を支配する広域○○団S会系二次団体・青池会若頭。
青池会の跡目を継ぐ一人と目されている気鋭の出世頭。
無口で自制心の塊のような男。
殺す必要があれば誰であろうと躊躇わず殺す凶暴性を秘めている。


海江田 信輔(かいえだ しんすけ)
青池会構成員。若頭・東儀衛に帯同する付き人。
大胆で物怖じしない、軽薄だが頭の切れる現代気質の若者。
ヤクザ特有の面子やプライドなどは薄く、目的のためには他勢力とも通じる柔軟性を持つ。


御舟 和義(みふね かずよし)
S会系三次団体・御舟組組長にして青池会舎弟頭。
青池会の跡目相続を争うと目される高級幹部。
酒もセックスも腕っ節も並外れて○い、古典的なタイプの極道。
冷酷非情だが身内には情が篤く、下の者に慕われる豪傑。


孟風達(マウ フォンダー)
歌舞伎町を徘徊する怪しげなチンピラ。中国人。
詐欺や盗品の売買などを生業とし、ヤクザ・中国人・警察と複数の勢力間を巧妙に泳ぎ立ち回る抜け目ない小悪党。
悪徳刑事・鵜飼紗雪の子飼いの情報屋でもある。


恩田(おんだ)
一見して競馬場や競輪場にたむろする日雇い労務者風の、風采の上がらぬハゲ頭の中年男。
いつも飄々と笑っていて親しみやすい人物。


ババア
主人公の住むラブホテルのオーナー。主人公をこき使う因業な老女。
歌舞伎町の裏社会の事情通。
青池会とも繋がりがあり、主人公の副業が殺し屋であることや、雲が元マフィアであることも知っている。

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序章

新宿・歌舞伎町で繰り広げられる血の惨劇。
高校生のときから不眠症に悩む主人公(村木武生・俺)は殺人を生業にしてその不眠を和らげていた。
いつでも誰かを殺せる力だけが、自分を殺そうとする誰かから逃避させてくれるという不安から逃す術を教えてくれるような心地……。これが殺人の理由か。

主人公とあざみ

デリヘル嬢(あざみ)は、倉橋達郎(お客)に手錠に目隠しというプレイの内容に沿わないことをさせられた。その上、言うことを聞かなかったら遠慮なく顔を殴打される。

その)男にとって風俗嬢というのは最低の人種であり、誰に何をされても文句は言えない対象なのだ。

性欲のはけ口に困った男たちの「女嫌いの女体好き」を如実に表しているのではなかろうか。
時代が進むにつれ、人々の恋愛事情はより見た目重視になり、選ばれなかった男たちはこうして性欲のはけ口を渡り歩く。
より過激なプレイや動画を求めてEDにもなる。男は女を求めるが、母性のある女を求める。女の素顔や本性を目の当たりにする媒体がインターネットである。男たちはネットを介して植え付けられた女の像を、アイドル(虚像)と呼ぶ。
しかし現実に母性のある女などは存在していない。

女と一緒に行動すると情緒的に割り切れない感情で埋め尽くされる。男と女はまるで違うことを思い知らされた。

女は、何をされても問題はないと嘯く倉橋にあざみの渾身の一撃!
手錠で動けないあざみが所持しているカバンから財布を抜き取ろうとしていた倉橋は、逆に見るも無残な姿となって死に絶えた。下腹部から腸が引き出され頸がへし折られており、普段から血腥い現場を目の当たりにする機会が多い暴力団の海江田信輔も吐くほどだったという。

今回のラブホテルで起きた殺人事件について、暴力団員・東儀 衛から直々に「首謀者を見つけ出してくれ」と頼まれる。
これまでの悪行は全て、彼の頼み事であるし、飼い犬でもある村木は従うしか道は残っていない。
村木は、自らを臆病な羊として、飼い主と飼い犬の関係をつまびらかにした。

殺意の赴くまま獲物を狩る狼と、安らかな眠りを得るために与えられたエサを喰らうだけの羊
相反する性質を持つ二人が対峙したときに陥る化学反応が凄まじい。
あざみは孤高を気取っているが、実を言うと彼女の中ではいつも孤独を抱えており、寂しさ侘しさを埋めるべく村木とセクフレみたく付き合っていく。

東儀と村木は利害の一致で繋がっているのである。
生きていくために他人の命を標的として欲するという村木が生き方を選び続ける限り、東儀との関係も続いていく。
この言葉を「認める」か、「認めない」のかでEndが変わる。

本編

本編では

  1. End:眠れぬ羊
  2. End:孤独な狼

が存在する。

鵜飼 紗雪は一連の事件の情報を得るためならたとえ火の中水の中であろうとも、厭わない性格のようで、青池会に出入りする傍ら、警官としての黒いうわさも絶えない。
黒いうわさは過去にさかのぼる。

黒いうわさの理由

彼女が新米刑事だったころの性格は清廉潔白であった。
良し物は良い。悪き物は悪いと全てに善悪の区別をつけるタイプ。
職務を忠実にこなす、言ってみれば期待の星だった。
そこで、ある変死事件が起きた。青池会が起こした事件と目星を付けた警察は捜査に奔走した末に証人を確保できた。
ところが、紗雪はその功績をある先輩刑事に話すことで、彼女の運命は一気に崖から突き落とされる。
内密に事を運ばせようとする先輩刑事だが、その裏では青池会と内通し癒着していた。

刻まれた「犬」
それは、一生犬として這いずり回ることしかできない彼女を言い表した言葉。

要するに、紗雪は青池会、そして御舟和義の仕組んだ周到な罠に嵌められたのだった。
監禁されている間に証人は行方不明となり、全ては闇から闇に葬られた。

そしてマル暴の刑事がよりによってヤクザ者たちに輪姦されたという事実は、紗雪にとって明るみに出すことのできない恥となり弱みになった。

暴力と腐敗に叩き潰された自分の無力を呪い、自暴自棄となった紗雪は酒と男遊びに溺れていった。

酩酊と快楽に我を忘れていなければ、自壊衝動のまま自分で命を断っていただろう。踏みにじられた末に死ぬのは嫌だ––そうした死への恐怖に抗う無意識もあってのことなのかもしれない。

その酒浸りや男遊びで作った多額の借金を返済するためには、御舟の珍棒に耐えるしかないのだった。
そして、いつか絶対殺してやる、と胸に誓って。


ここまで壮絶な過去を知っていると彼女にも一縷の報われて欲しいと願う気持ちも生まれてくるが……。

眠れぬ羊

「認める」を選択するとこのルートに進める。
羊が狼になる話であり、その反抗心を培うのはあざみなのではないか。
あざみが不安で不眠であった彼を羊から狼へと変えてくれた。

安息の地はない。
不安を取り除いたとしても、新たな不安が押し寄せてくる。
無限に続く不安の連鎖。
貯めても貯めてもお金がないという焦燥感。
焦り、不安。

あざみと主人公

ダルマ女の正体はもしかして…なんじゃないの(画像リンク有)。というか全くそれ。

ダルマ女の本名が小夜子という事実を明かされた時……
実を言うと彼女はとっくの前に亡くなっており、死に逝くかつての夫に霊として懐柔するシーンが涙を誘う。

だが、そのブルーフィルムのコピーを誰かが隠し持っているという噂を流した黒幕は別にいる。
暴力団員は罠に誘い込まれた獣にすぎない。
檻の中で、のたうち回る暴力団どもを密かに笑う彼の思惑は一緒に手を組んだ人のためであるし、復讐のためでもある。

暴力団に手を出してはいけません。

理由

拷問死

別所 美玲は聡明である。
湧き出る正義感から暴力団員相手にも怖気ずに刃向かったが、その態度が暴力団員をより狂暴に変貌させるのに充分すぎた挑発……。
その結果として拉致された彼女に待っていたのは凄惨たる拷問であった。

主人公や李、雲に救出されたのだが、身体に受けた傷は深く、致命傷だった。最期では、親父の胸に抱え込まれながら亡くなった。
この子のフェラテクや手コキのシーンもあり、そそり立ったおチンポが一気に萎びれていきましたとさ……。

海江田に安息の地へと逃されたあざみと主人公。
彼らは愉快とは言い切れない事情を抱えながら日々を送るというEndだった。

孤独な狼

「認めない」を選択するとこのルートに進める。
このルートは仁礼 春彦刑事が刑事らしからぬ行為をふんだんとしてくる。
法の番人と彼は嘯くが、無法地帯の方の番人であり、法治国家のそれとは違う気がする。

主人公にだって守りたいものはある。
あざみと過ごしていく中で「何か」が疼き始める。

殺してはいけないと法律で定められているからこそ、人を殺すと死刑になりうる。
道徳的にも人を殺してはならないと誰しもが思っている。
だが、その法律や倫理とは裏腹に、無性に殺してみたくなる時が来る。その衝動が抑えられなくなったときに人を殺す。
そしてその衝動が発生したとき、2つの人格が現れる。
殺人欲求の塊であるその欲求は何人も何人も殺していく。
そう、主人公と出会うまでは。

殺害されると察知するとその欲求が膨らんでくる。
羊は殺される「不安」を感じたとき眠れなくなり、人を殺すのと同様に、あざみもまた目の前にいる人間を善悪の区別をつけて殺戮を繰り返す。

仁礼刑事による拷問

法治国家……。まぁ、警察は事件を解決したいのではなく、その事実に沿う証拠集めをするから、本当は拷問したくて堪らないのでしょう……。
孟風達に偽造パスポートを作ってもらうと約束を取りつけたのちに、仁礼と遭遇した彼は陰茎を燃やされたり、顔面を鉄製のヴローブで殴られたり、足の指をハンマーで粉砕されるという拷問を受け、ついに口を割った。
あざみの居場所を……。
他にも、御舟や策士家である海江田を死に追いやったりとかで散々暴れた挙句

「俺にとって悪人を狩ることに、特別な理由は必要ないからな」

と呟くシーンでは鬼気迫る響きがあって、正義のためなら武力も惜しまないという意思が感じられた。
鵜飼 刑事は少なくとも自分の手で殺したかったであろうにな。

このまま、主人公は拷問死してしまうのか、あるいはあざみの居場所を知られた今、救う手立ては見つかるのか?
と意気込みプレイしたが、事態は思わぬ方向に向かっていく。
個人的に思うところなのだが、あざみは、拷問されている主人公を救い出せなかった。あざみは殺人者として生きていく。
拷問した挙句、死に追いやった誰かを探して……。

というルートの方がスリリングな気持ちになると思ったが、そうはならなかった。

拷問した犯人を殺した奴は他にいる。
それは敵というのもあるが、そいつの持つ自己欺瞞的な偽りの愛で塗り固めた根性が気に食わんかったらしい。
そいつを殺し終えた後で、密かに誰もいつかない隠れ家に身を潜めた。

雪が見えた、気がした。

という言葉を残して……。

「奴がおまえに教えた、
殺してもいい悪い人間とそうじゃない普通の人間の区別なんて、本当はどこにもないんだ」
「殺しは殺しだ。
そこに付ける理由ってのは、基本的にどれも後づけでしかない。
本当は無いかもしれないんだ、そんなもの」

という言葉は当たり前のことを言っているが、昨今の日本では違うんだろうな……。
善悪の区別をつけて殺していく犯人に執行する死刑制度もあるが、ハンムラビ法典に基づいて定められたとされると思うのですが、犯罪者にも人権は存在する。
その生まれながらにして持った基本的人権を法で執行しても良いものだろうか。一人の命を死刑で奪ったとして、それが遺族のためになるのであろうか。もう死んでしまった人は生き返ってこない。昔で言う仇討のような絶対的応報刑のような気がしてくる。
けれども、お兄ちゃん一筋で生きてきたあざみにとって、天にも昇るような心地を覚える、新天地みたいな言葉だったに違いない。

True

ここまでのEndをすべて見た後で「もう一つの結末を」で進める。

眠れぬ羊と孤独な狼

ここまでで唯一、取り残されたブルーフィルムを追って事態は思わぬ方向へ錯綜していく。
さらに、このルートでは一人死にまた一人が死んでいく寂寥感を味わうことができた。

かごめの歌で開幕。
恩田は歌舞伎町の一掃に赴くために今日も出かける。

人を殺したら駄目だ。人を殺すと罪悪感でぐちゃぐちゃになるというのは、殺人をしたことがない人が言うセリフである。
本当は、殺人をすると気分が爽快になる。だって、大して知りもしない相手を殺したとて、それにいったい何の価値がある?罪悪感は生まれない。だって殺したい相手がそこにいることが重要だからだ。

「そう、たぶん誰もいねえんだよ。みんななんとなくで言ってるだけなんだよ。
適当な想像だけでよお、本当のことは誰も言っちゃいねえの」

ためらいながらも殺す人を選んで殺人をする主人公とは違い、殺すことに愉悦を感じる恩田は根っからのシリアスキラー。
だが人を殺す行為であることにどちらも変わりはなく、そこにあるのは、慈善的か殺したいだけかのどちらかということになる。ま、そういう理由を付けたがるのも、愚かなことなのでしょうがね。
殺人は殺人。それ以外に何と言う?

ブルーフィルムに映る特定の人物である、国民的人気を誇る二世政治家を守ろうとする人間たち。
つまりは、国家に連なる権力者に他ならないのだから。
そんな国家権力あいてに、個人が敵に回し、どうやったら生き延びられるというのか。

紗雪の最期
動脈を切られてあっけなく

「死んだからってなんだって言うんだ!こうしておまんこできるじゃねぇか!畜生」
刑事として死体を検死する機会はあったにせよ、自分が体験することはなかった彼女。死を前にすると、紗雪はやっと本音が出てくる。
死ぬのは嫌だ……。寂しいし、暗いところに行くのがつらいと心情を吐露した。

八年前、由良健一という東儀からの依頼で初めての殺しをしたときにはすでに主人公はあざみと出くわしていたのだという。
親を庇うようにして頭を銃弾で撃ったときに、脳内のホルモン異常により、今のような怪物ができたのだという。
兄ある仁礼もそれは知っており、主人公に対し敵意剥き出しのまま向かってくるのはそういうことかと合点した。

殺してはいけない人間との後天的に相手をどう思うか、という線引きが徐々に難しくなっていく。

屋敷に籠城していると忍び寄ってくる影が現れる。
恩田である。
彼は主人公が今最も恐れている公安の一人であり、証拠となる人を「消す」役割を請け持っている。
一人死にまた一人が死んでいき、残るはあざみと主人公のみとなった。
恩田の姿は、あざみにとって過去にレイプされ、殺人欲望をみなぎらせる出来事と類似しており、それが束の間の楽しみを奪う動機となった。

ついに狩る側に変貌を遂げ、恩田を枯草のようになぎ倒す。

そうして迎えるEndはかつてないほど寂しきことのオンパレード。
一時的には殺人欲求の手からは逃れることはできたのであるが、まさしくそれは一時凌ぎ。
再び殺人欲求がよみがえると、討ちあいになることは必至。

普段人を殺すことはなくとも、戦争が勃発してしまえば、必ず人は大義名分を掲げ、戦地に赴くだろう。
そういう危ういバランスだからこそ、そのバランスは突然に崩壊していくものであるとして、この世の中には真っ黒か真っ白で塗り固められないものがあるとする主人公の考えには激しく同意した。

俺はもう、人を殺さなくとも夜を眠れるようになったから。

魂にこびり付いた“死”への恐怖を、あざみとの殺し合いを生き残ったことで克服したのがその原因なのか、俺にはどうもわからない。

ただ俺の耳には、今でもあの女の最後の言葉が残り続けているその言葉を暗間の中で思い出すと、安らぎが全身を満たしていくのを感じるのだ。

俺の背負った呪いは、あざみがその命をもって解いてくれた。
それだけは間違いなく言えることだった。

あざみによる最期の置き土産は眠りを捧げてくれたというものだった。

Bad End

迎える最終局面。

  • 相討ちになる(Bad)
  • 主人公が死に、あざみだけが取り残される(Bad)
  • あざみが死ぬ(眠れぬ羊と孤独な狼)

Endがあった。

相討ちEnd

このEndの方があざみや主人公にとっては救いのためには必須なんじゃないかなと思ってみたり……。

あざみだけが生き残るEnd

あざみは、殺してしまった主人公を思って胸が苦しくなった。
その気持ちが大事なのであり、その気持ちを持っているからこそ、人間が殺人者ではない理由だ。
良心の呵責ともいえる。その気持ちがあるというように、すべての人間を善悪で区別するのではなくすべての人間を好きになればいいと洩らして、主人公は亡くなってしまった。

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